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悩む力

姜尚中(カンサンジュン)著「悩む力」を読んだ

悩む力 (集英社新書 444C)
悩む力 (集英社新書 444C)

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姜 尚中
集英社
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本書を読むととても分かるのだが、姜尚中氏は夏目漱石と社会学者であるマックス・ウェーバーに対して強い思い入れがあるようだ。本書では現代人が抱える”悩み”と言うものがどういうものであるのか。また、その”悩み”に対してどう向き合っていくのかを数々の夏目漱石の著作を引用して説かれている。
引用元の漱石の著作に関しては読んでいなくても本書を読むことは出来るが、「心」や「それから」等の作品に関しては読んでおかなければ著者の真意が伝わらないのかもしれないと感じた。
ちなみに、私はそれらの著作に関しては読んでいない。せいぜいあらすじ程度を知っているのみだ。
今思うと、いわゆる”名著”と呼ばれる日本の文豪達が記した著作を私はほとんど読んでいない。
それは、今、それらを読むことに果たして本当に意味があるのか?何か役に立つの?と言う疑問があるからだ。

悩みぬく

私はどちらかと言うと悩み、考え込んでしまうタイプだと思っている。ただ、問題なのは

しかし、そのどれにも納得できないなら、何ものにも頼らずに、ウェーバーや漱石のように、自分の知性だけを信じて、自分自身と徹底抗戦しながら生きていくしかありません。(P.107)

これが出来ない。あるところまで悩んだら、その悩みを投げ出してしまったり、考えるのをストップさせてしまっている。そして、それでいてしばらくするとまた悩み始める。そんな繰り返しばかりではないだろうか?
本書では、何かしら自分を納得させるようにして本当にそれで”納得”できればそれはそれでいいと書かれている。
ただ、それで済ませた結果引き起こされる事実に対して”納得”出来るかは別の話なのではないか。悩んで、悩んで、それで納得した答えから引き起こされる現実と、悩むのを放棄して引き起こされた現実では受け取り方が違ってくるはずだ。それすら”悩む”事を放棄してしまうほど擦れてはいないと思っている。

自分自身は何者なのか
自分自身は何が出来るのか

自分自身という対象に焦点をあてて考え始めると、ある意味私なんかは凹んでしまいますが、どこか青臭いようなこの問いかけも何も考えなくなる日が来るのかもしれない。答えなんて用意されているわけでもなく、悩んだ末に出した答えに自分自身が納得できるのかと言うだけなんだろう。

ただ、好きなだけ悩んでいいというものでもない。著者の言うところの働いている”社会人”である限り、個人の悩みとは関係なく世の中は回っていく。社会情勢や環境等、今の世の中としては決して明るい話題ばかりではない。そんな中にいるとどうしても変な方向に”悩み”が向かってしまいがちではある。
自分自身で納得がいく。そんな答えを見つけられるよう自分自身が耐えられる範囲で悩んでいく事にしようと思う。

プロの残業術

長野慶太著「プロの残業術」を読んだ

残業は悪なのか

私が会社に入った当初。つまりは10年近く前には残業は当たり前状態であった。残業というか、毎日誰かしら会社に泊まり込みで仕事をして、朝方に仮眠をとっている会議室から眠い目をこすりながら出てくるという風景だ。
私自身も3年目~5年目くらいまでそんな感じで、残業に対して特に何とも感じなくなってしまっていた。
自分自身、これではいけないと思い、世に言うワークライフバランスというものを考えなければいけないのではないか?仕事ばっかりでいいのか?などとあれこれ考えた。

これを考えていたのは私だけではなかったのか、それのせいかは分からないが最近は泊まる人がほとんどいない状態になった。それどころか、10時を過ぎた段階で残っている人はほとんどいない!特に若手はほとんど残っておらず、昔、残業が当たり前のように感じていたころを知っている人がまばらにいるだけだ!
すごい!変わるものだ!ちゃんとワークライフバランスができているのか!

実際のところ、年々メンバー。特に若手層の仕事に対するがんばりや習熟度というものが下がっている感がある。これはただ単に入ってきたメンバーのレベルによるだけのものなのだろうか?人事部がさぼってちゃんと面接を行っていないのか!?
結局は”ゆとり”教育と同じことが起きてしまっているのではないだろうか?

残業せずに何をやるのか

ワークライフバランスにおいて重要なのは、”ワーク”も充実させるし”ライフ”も充実させることであって、別に”ワーク”の時間を短くすることではないはず。

それは取り返しのつかない犠牲だと言って言いすぎではない。
一つ目の理由は、「ゆとり企業社会」などは幻想でしかないからだ。
人が職場で苦しむのはストレスであって時間ではない。
<中略>
二つ目の理由は、ビジネスの現場は、個々人に「ゆとり」があるかないかなどとはまったく無関係に進行しているからだ(P.9-10)

そう、そうだよ!
“ワーク”の時間を短くしておいて、家に帰ってダラダラとテレビを見る。ゲームをする。それで”ライフ”が充実しているのだろうか?友人と酒を飲むのもいい。恋人とイチャイチャするのものいい。それが自分にとっての”ライフ”の充実であるならば。
特に私が気になるのは”ワークライフバランス”を重要視する人はたいてい、”死に物狂いで残業をして働いた”経験を持つことのほうが多いことだ。その人たちは「効率よく仕事をすすめ、私生活を含めて豊かにしていくことが人間としての成長を…」的なことを言う。
ただ、今、その人たちがその地位にいたり、それだけの知識や考え方を持っているのはそういう時代を過ごしてきたというのも一つの要因ではないのではないだろうか。

どういう残業をするのか

だからと言って、むやみがむしゃらに働けばいいというものでもないし、無駄に会社に残っている必要性は無い

われわれの残業が、ほんとうにどうしようもなくつらく苦しいものだとしたら、その意味や意義が明らかになているか意識しなおしてみるべきだ(P.30)

単純に日々の仕事の延長戦として残業を持っていくのは、やむにやまれぬ場合もあるが、本書で考えられているように意味や意義を別に定義してとりかかるというのは確かに重要なことかもしれない。
つまり、それをするために通常の時間帯において、うんざりすることは片付けてしまうことが重要になる。
別に私は世に言うハックだとか効率化だとかいうのが嫌いなわけではない。
ただ、8時間の作業を6時間で終えることができたとしても残り2時間何もしなければそれはその作業に8時間かかったのと結局のところ同じだということだ。早めに仕事を終えたとして、ダラダラと煙草を吸ったりしていては、意味がないどころか周りの迷惑だ。

とはいえ、人によっては残業が難しい人もいる

残業ができる人は限られている。
私のまわりにも、やる気はあっても、子の教育、親の介護、共働きなど様々な事情で残業のできない人はいっぱいいる(P.198)

そう、この年になってあれこれ勉強しようと考えた時に残業は使いづらい場面が多くなったと感じる。
特に子供が生まれてからというのは顕著になった。今はまだ妻が産休だからマシではあるが、働き始めたらさらに厳しさを増すのではないかと考えている。
親のエゴかもしれないが、子供の教育上親が普段家にいないというのはあまり良くないだろう。そう考えると、昔のように遅くまで仕事をするのが難しくなってくる。
家に帰ってからも、落ち着いた時間というのは明らかにとりづらくなっている。

自分自身の勉強の仕方というものは、やはり考えていかなければいけないだろう。

結果を出す人はノートに何を書いているのか

社会人勉強会を数多く立ち上げている美崎栄一郎さんの処女作「結果を出す人はノートに何を書いているのか」を読み終えた。

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美崎栄一郎
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私もいくつかの勉強会に参加させていただき、数々の気付きをいただいている美崎さんの処女作とあって、意気込んでAmazon予約したものの、届くのにずいぶんとかかってしまった。
一通り読むのには時間はかからなかったが、何度か読み返したかったこともあって紹介が遅れてしまった。
以前、朝食会の折に美崎さんが小さいノートの束を輪ゴムか何かでくくって持ち歩いていたのを覚えています。その後、ノート術関連で雑誌の取材を受け、その中身が気になっていました。これはチャンスだー!?

文房具紹介

タイトルは「ノートに何を書くのか」ですが、かなりのページを文房具の紹介に費やしています。
ちょっとタイトルと違うんじゃない?って思うところもありますが、「何を書くのか」だけではやっぱり不十分ということでしょう。そもそも、私もノートは持ち歩いているのですが、”そもそもノートを書けない”という場面が発生しています。”書けない”というよりは”書きそびれている”もしくは”書く習慣がついていない”というところですが、それを道具の力で幾分かは補うことができるのかもしれません。
確かに、かっこいいノートやペンを使って、”そもそも書くことは楽しい”という感覚を身につけてしまえばめっけもの。
ふむふむ

予想と結果

ノートの書き方に関しては色々と参考になる点はあったのですが、個人的にやっぱり大事だなと思ったのは予想と結果の記録です。これは先日読んだワタミ社長の渡邉美樹氏著の「戦う組織の作り方」でも”仮説と検証”という形で出てきました

「戦う組織」の作り方 (PHPビジネス新書)
渡邉 美樹
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特に”そこまでやるのかー!”って思ったのは電話のメモに対してまでそれを実践すること。確かに言われてみれば、かける前に「何の用事だろう?」と思いはするものの、実際のところここまでのことはしていません。そのあたりの微妙な差が積み重なってくるのだろう。ふむぅ
スケジュールに関してもまだ私は週単位でしかあまり考えていない。これを月単位。そしてさらに広げて物事を考えられるようになれば自然と先手先手の動きがとることができるのだろう。これは訓練していくしかないな~。とりあえず、来月の予定表見たらほとんど埋まっていなかった。むむむ。来月のことなのに少し無計画すぎるか…

あれこれ考えて

まずは、月単位で物事を考えていけるようにしようと思っている。予定を立てるのもそうだけど、あらかじめ来月の月報報告を書いてしまう。もちろんいいことしか書かないのでそれが実現できるのか。仮説と検証。また、仮説に向けた行動ですね。
ノートの取り方に関しては、本書で述べられている内容と、今自分自身で模索している内容。さらに、別の本で得られた内容等を旨い事Mixすることはできないかとここ最近はもんもんとしている。
これに関してはある程度形になったところで報告していきたい

財務3表一体理解法

國貞克則著「決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法」を読んだ

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
國貞 克則
朝日新聞社
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私は以前、簿記の試験を受け、落ちたことがある。少しなめすぎていたのもあるのだが、簿記の仕訳手法をあれこれ学んでいてもイマイチやっている内容の実感が湧かなかったのだ。
「これが何の役に立つのだろうか?」

よく言われているのことに「英語と会計は勉強しておいたほうがいい」がある。英語も会計も、結局のところ自分が使おうとしない限りあまりなじみがないのが事実だ。
英語はまだいい。頭をひねれば使おうと思えば使える。必要なのは勇気だ。
ただ、会計は実際のところなかなか難しいと私は思う。”会計は大事だ”という言葉に乗せられて簿記を勉強している人がいるが、複式簿記を普段の生活のどこで使うというのだ。起業したりするのであればもちろん別。たいてい”会計は大事だ”というのは起業した人だ。
このあたりのわだかまりがとれないせいでどうにも身に付かない。もちろん、いいわけだ。

本書は、そんなバカたれな私でも読んでいて”なんとなく”財務3表がわかった気になった。この”なんとなく”というのがとてもいい塩梅だ。これは世間一般には小さな一歩だが私にとっては大きな一歩だ。
実際に私自身が起業を念頭に置いているわけではないが、本書で用いられている”仮想起業”(しかも副業)での財務3表の作り方はとても”しっくり”ときた。もちろん、本書で述べられている内容というのは簿記会計でも出てくることはあるのだが、書いている内容がとてもわかりやすく、また私が勤めている会社の状況や決算整理を見ていたりして疑問だった部分が分かった気がする


つまりうちの会社は利益をみずま(ゴホゴホ

いや、なんでもないですよ。一応認められていることと書いてはありますし。問題は無いはずですよ?
なんか、そのやり方は今期からやめたみたいだし…

ううむ、やっぱり会計は大事か。自身が勤めている会社の現状を知る上でも。

日本人の知らない日本語

前々から存在は知っていて、書店でチラチラと見ていたのだが買っていなかった「日本人の知らない日本語」を購入。読んでみた

日本人の知らない日本語
蛇蔵&海野凪子
メディアファクトリー
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本書の原案を書いているのは日本語学校の先生である。
日本にやってくる様々な国からの人たちに対して日本語を教えている中で発生する日本語に対しての質問や誤解をコミカルに描いた作品で、読んでいて勉強になるというよりは素直に面白い。

本書の中で指摘しているとおり、日本人が普段使っている日本語に関しても、間違っている使い方は多い。ただ、こういうことはずいぶんと前から言われ続けていることだ。
それでも、正しい日本語が培われないのは通じてしまっているし、それで良しとしてしまっているからだろう。間違ったことをどこからか覚えてきて、それをあたかも正しいマナーであるかのように話をする人までいるのでどちらか分からなくなってしまう時もある。
先日も「”お疲れ様”を上司に使うのは間違いだー!最近の若い子は使い方が駄目ね」なんて言い出すお局様まで出てきて反応に困ってしまった。

使い方に関する話と同じくらい面白いのが語源だ。
語源なんて実はいい加減なもので、「昔の人がこう決めたからこうなっている」なんてことがやっぱり多いみたいだ。まぁ、そもそも象形文字でもない限りただの記号なんだからそんなものと言ってしまえばそんなものなんだろう。
ただ、これらを知っているとちょっとした雑学王みたいな気分になれて気持ちいい。先日も、名前に関する話でとても面白い記事を見かけた

日子という女性名が無い理由を外国人に説明できない?
http://kousyoublog.jp/?eid=2351

言葉ってのは奥が深いですね。
少なくとも、部下に誤った指摘をすることがないように注意しよう。

戦う組織

和民社長である渡邉美樹氏著「戦う組織」の作り方を読んだ

「戦う組織」の作り方 (PHPビジネス新書)
渡邉 美樹
PHP研究所
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テレビでもその働きぶりがよく取材の対象になる渡邉社長の考え方が見える一冊であった。

仮説と検証の繰り返し

読んでみれば読んでみるほど、著者の行動は”仮説と検証”の繰り返しであることがうかがえる。PDCAのサイクルが重要なんていうことはわかってはいるんだけど、仕事の一部で出来ていても仕事全体。実生活においてこれができている人はどれだけいるのだろうか。
特に、人を育てるうえでも仮説を立て、ノートをとり、それを検証している

私は、「彼は○○がウィークポイントだから、こういう経験をさせる必要がある。もしその課題を乗り越えられたら、将来リーダーになれる可能性がある」というように仮説を立てて、ノートにメモをとるようにしていた。
面接のときだけではない。部下をプロジェクトリーダーに起用する時などでも、その人間の現時点での実力やどこまで頑張れそうかといったことについて仮説を立てるようにしてきた。
もちろん仮説だから、あたることもあれば外れることもある。仮説が外れたときには、なぜ外れたのかを検証する。

人を見るうえで、将来を予測したり計画したりするにはする。ただ、自分は果してどこまで真剣に考えているのだろうか?そう考えると、正直申し訳ない気分にもなる。
“自分には人を見る目がある”とは思っていないにもかかわらず、”見る目を養う”ための行動をとっていない。これでは、”見る目のある男”には程遠いじゃないか。

というわけで、さっそく人に対して仮説・検証を行うための専用のノートを購入した。これをつけて、仮説・検証を繰り返していきたいと思う。

戦う組織とは

組織に対する理念をどれだけ掲げることができるのか。
本書で著者は和民の理念として「地球上で一番ありがとうを集めるグループになろう」としている。理念に合う人は残り、合わない人は去っていく。たとえ頭がよく実力があったとしても、理念に沿わない人間がいづらい空間を作ってしまっているわけだ。

そこには「子供たちのために教育に打ち込む教師の姿」ではなく、「給料をもらうために学校に来ている大人の姿」だけがあったのだ

ガビーン(死語)

ちょっとこの言葉はショックだった。自分はもちろんのこと、自分のチームメンバーはそうなっていないだろうか。ちゃんとやりがいのある仕事ができているだろうか。
言うのは簡単でも、実際にやるのはなかなかに難しい。特に組織の中の一組織とあってはなおさらだ。上からも下からも矢が飛んでくる毎日。
その中でどれだけ自分は「戦う組織」を作ることができるのだろうか。

渡邉社長も最終的には

リーダーたる者、常に一番の勝負どころに立ち続けなければならない。
それができない人間は、リーダーとして失格だと思う

としている。
仮説と検証を繰り返しながら、戦っていくことにしよう

最近読んだ本

チルドレン (講談社文庫)
伊坂 幸太郎
講談社
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死神の精度 (文春文庫)
死神の精度 (文春文庫)

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伊坂 幸太郎
文藝春秋
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友人からずいぶん前に借りた本にようやく手をつけられるようになった。ここのところ、厚みがそこそこで文字の小さい頭を使う本ばかり読んでいたので、変な言い方かもしれませんが楽に読むことができました。
両方とも話の構成は似ていて、細かい短編の集まりでありながら登場人物がつながっているというものでした。
正直、チルドレンは”できすぎじゃない?”って印象を抱いた。
死神の精度はそういう意味ではなかなかおもしろかった。主人公である死神の趣向も面白いが、最終的に行うその”判断”は、物語の結末をハッピーエンドで終わらせたがる傾向のある私の予想をたびたび裏切ってくれたのが特によかった。
あと数冊残っているのでこの勢いで読み進めよう!

イノベーションのジレンマ

クレイトン・クリステンセン著。「イノベーションのジレンマ」を読んだ

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
クレイトン・クリステンセン 玉田 俊平太
翔泳社
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書店でタイトルが気になって購入。どちらかというとジャケ買い以外の何物でもなかったのだけど、私の中でかなりヒットした。

イノベーション

イノベーションをWikipediaで見てみると次のようになっている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。

私が”イノベーション”と聞いてぱっと思いつくのは「革新的な新技術」だった。

本書ではイノベーションを「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」に分類している。「持続的イノベーション」はその名の通り、既存の技術に対しての性能アップのような技術革新である。
「破壊的イノベーション」はこれまでその製品に対しての優越を決定していた指標とは異なる点に対してアプローチをしている内容で、実際のところ技術的に新しいとは限らない。

そう考えてみると、イノベーションは”考え方次第”ってことなんだな。

優良企業が優良企業であるがゆえに陥る話

別に優良企業に限った話ではないのだろうが、企業は常に利益を求めている。株主や市場。はたまた自社の従業員に至るまでそれを求めている。
それに応えるためにはより大きな市場。大きな利益をもたらす市場へと進出していかなければならず、その結果本書でいうところの「破壊的イノベーション」の実現をすることができなくなる。
なぜならば、破壊的イノベーションはその性質上、初期の段階では大きな利益を生む可能性が低く、大きくなった企業にとっての魅力は薄れてしまうからである。

ソフトウェア業界に関しても考えてみるとばっちり当てはまるような気がする。
システムを立ち上げて、最初は小さい企業に導入する。最初はバグやらなんやらで手こずるが、こなれてくると同規模の企業に多く入れ始める。システムの導入に関して言うと、無尽蔵に増やすことができないのでより大きい利益率を確保できる中規模の企業に導入し始める。別のシステム会社が小規模の企業に進出してもより利益率の高い企業に導入を始めているので痛くも痒くもない。
これを繰り返して、最終的には・・・

うわぁっぁぁぁっぁぁっぁあl

見える!見えるぞ!!!

なんだか人ごとじゃなくなってきた感じがある

じゃ、どうするのか

すべての解決策ではないのだろうが、本書では一つの解決策を提示している。
だが、実は本書には続編となる「イノベーションへの解」がある。こちらを読んでから考えることにしよう

ダーリンは外国人 with Baby

時期的にちょうどいいかな?って買ってみた!

ダーリンは外国人 with BABY
小栗左多里&トニー・ラズロ
メディアファクトリー
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ダーリンは外国人シリーズは最初のだけ読んでいるんだけど、文化や考え方の違いがコミカルに描かれていて結構好き。
今回のお話は出産から子供が1歳までのお話。うちの子もようやく2か月が過ぎたので共感する部分、そしてこれから味わうであろう部分。それぞれ楽しめる内容だった。あぁ!これってうちの子だけじゃないんだ!ってところが何箇所かあった。ニヒルに笑うのは共通なんですね。あれ、最初見たときはちょっとびっくりしました。

本書では第1弾では特になかったトニーのコラムが多い。トニー。やっぱり色々と考えているな。うん。
子供の教育に関してはまだ我が家でもこれから話し合っていかないといけないところ。
私は結局、塾には一度も通う事がなくここまで来ている。塾に通いたいと思ったことはないし、通わせたいとも思ってはいないけど、だんだん子供が大きくなっていく中で考えは変わるのだろうか?勉強の大切さは30を過ぎてようやく気がついたような感じだ。でもそれでもまだ遅くはないと思っている。

今思うと私が小さいときには色々な所に連れて行ってもらった気がする。そんなに記憶力がいいわけでもなく、そして乗り気で行ったというよりは連れてかれたという感じだったのであまり記憶には残っていないが、親父があちこちに連れて回った気持がわかる。
色々な事を見て、触って、経験していってほしい。

やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている

先日の「結局”仕組み”を作った人が勝っている」の著者二人が送る第二弾。「やっぱり”仕組み”を作った人が勝っている」を読んだ

やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている (光文社ペーパーバックスBusiness)
荒濱 一 高橋 学
光文社
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前作に引き続き、内容の骨格は成功者たちによるケーススタディになる。
ただ、著者も前作と同じようにただひたすらにケースを紹介しているわけじゃない。今回はインタビューした成功者たちの本の主題である”仕組み”が何のための仕組みなのか。何を重視した”仕組み”なのかに関して9つのポイントを上げている。

  1. 複製
  2. 他力
  3. 多面
  4. 継続
  5. 分身
  6. 標準
  7. 法則
  8. 即効
  9. 論理

以上の9つのポイント。これらに関しての事例をあげることでその有効性を説いている。
本書で紹介されている成功談。これらは前作と同様、おいそれとまねできるものではないし、ましてや同じことをしたとしてもすでにこれらのマーケットでは彼らに勝つことはできないだろう。
その意味で考えても、9つのポイントをもってどう生かすのかが本書を生かすポイントになるのだが…よくよく考えてみると、これらの仕組みはそれほど特別でないように感じる。これらは結局のところいわゆる”仕事術”に通じる内容なのだ。

仕事術とこれらの仕組み

では何がその辺の仕事術と違うのか。
著者の両氏が、この取材対象として選んでいるのはいずれも企業家(投資家もいたが)であり、その誰もが”ほぼ全自動で収入を得られる仕組み”を手にしている人ばかりである。つまり、ここでは世間に出回っている”仕事術”とは一線を引きたかったのではないだろうか。
この事に関してはPart1で

いかにしてこの「仕組み」を作り上げ、いわゆる「ラットレース」(ハムスターが回し車の中を走り続けているような状態)から脱出するか(P.23)

としている。
題名にもある著者が言うところの”勝っている”とはそういう状態なのか。幸せや平和の定義を挙げだすときりがないのだろうけど、ここまでインタビュー対象を選んでいるのだからそういう考えを持っているだと思う。
まぁ、それを論ずるのは本書の意図するところではないのだろう。
彼らの成功は決して結果的に仕組みがあったわけではなく、明らかに成功するために仕組みを考えて成功したのだろうから。その”仕組み”という考え方に関しては起業だけでなくあらゆる場面で役に立つのだろうから。何にこのツールを適用するのかは読者次第なのだ。