読書感想文」カテゴリーアーカイブ

個人がシンクタンクになる時代

みさ吉さんに薦められ田坂広志さんのプロフェッショナル進化論を読みました。

副題として上げられている「個人シンクタンク」。Wikipediaでシンクタンクを調べてみると次のようなものでした。

シンクタンク (Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF

シンクタンクとは、諸分野に関する政策立案・政策提言を主たる業務とする研究機関である。

今、ネットで検索をすることで多くの情報を個人でも手に入れることが出来るようになりました。仕事でも、分からないことがあると検索すればかなりのところまで情報を手に入れることが出来ます。つまり、プロフェッショナルとしての役割は単純な”知識”の量を示さなくなっている。プロフェッショナルとは、個人のレベルであってもその分野において考察し、提言等情報を発信する人のことをさすのではないか。
田坂さんはそれを実現する戦略として

  1. コンセプトベース
  2. パーソナルメディア
  3. プロフェッショナルフィールド
  4. アドバイザリコミュニティ
  5. ムーブメントプロジェクト
  6. パーソナリティメッセージ

の6つをあげています。
私が強く印象を受けたのはプロフェッショナルフィールドに関して。自分のフィールドは何なのか?自分がそ従事している職業。それに対する知識というのは確かに多いけど、自分のフィールドは本当にそれなのか。そして今後、自分のフィールドを広げるのか。それとも深めていくのか。
たぶん、まだ私は自分のフィールドを確立していない。まずはその一歩からですね。

田坂さんの著書は数冊読んでいますが、いつもとても力強い言葉に鼓舞されます。ありがたいことです。

10倍速く本が読めるか?

少し前のエントリーでも書いたけど、フォトリーディングを紹介している「あなたもいままでの10倍速く本が読める」を読んでみた

あなたもいままでの10倍速く本が読める

あなたもいままでの10倍速く本が読める

本を読むことに関しては色々な本が出ています。”速読”はもちろんこの”フォトリーディング”、最近では”フォーカスリーディング”なんてのも出版されていますね。確か勝間さんも”読書進化論”というものを出版されていました。これだけあれこれと出てきているというのはやはり、昨今の勉強本ブームも影響を与えているのかもしれませんね。
ちなみに私は、速読に関しては一度本を読んだことがあるのですが、どうしても頭で「いやいやいや、無理でしょこれは」って思ってしまって身につきませんでした。多少の速度アップにはなったとは思いますが、速読の本が言わんとしているレベルには到底達していません。

本書を読んでみて、「あ、いいな」って思ったところは

  1. 読む目的をはっきりさせる
  2. 出来ると思う(不信感を抱かない)

ということかな。もちろん、他に取り上げようと思えばいくらでも取り上げられるのですが、特に強く感じたのはこの2点でした。
読書に関する話に限ったことではないですが、何かの行動に対して明確に目的を持っているのか?これを確かめるというのはやはり大事な話だと再認識しました。最初はその本を読む目的があって購入しているにもかかわらず、読み進めていくうちに目的が薄れてしまい、最終的に読みきることが目的に摩り替わってしまう。今までの私は特に何日もかけて読んでいたので特にその傾向が強かったように思います。
また、”速読”のときもそうだったけど、自分で大して努力したわけじゃないのに「書いてあること、うそくせー」とか思ってしまう。そんなに簡単に身につくのであれば苦労はしないはずなんですけどね。

肝心のフォトリーディングに関してはとりあえず、やり方は一通り見てみたけどさすがにものにはまだ出来ていない。目的やプレビューまではいいとしても肝心のフォトリーディング。これが・・・・どうも・・・。本で言うところの”ブリップ・ページ”はがんばってみることが出来るところまで出来たけど、そのまま視線を動かすと崩れてしまう(><
むむむ。とりあえず、いくつかの本で練習しながら身につけられるようにトライしてみよう。

内藤忍の「好き」を極める仕事術を読んだ

先日日経マネーのセミナーで抽選で補欠当選することによってゲットした本を読み終えた

内藤忍の「好き」を極める仕事術 (講談社BIZ)

内藤忍の「好き」を極める仕事術 (講談社BIZ)

本書で書かれていることは、すごい新しいことが書いているわけではないと思う。
自分は何が好きなのか。それが好きな理由は何なのか?つまり、本当は何が好きなのか?という問答の末に出てくる自分自身。それを見つけ、差別化・効率化・継続化していく。これらのことは、他のビジネス書や仕事術のような本でもいわれていること。それらが内藤さんの言葉で書かれている。
読んでいて、妙に親近感が沸いてくる場面もあった。

私も仕事やプライベートのディナーなどでビジネス書の有名な著者の方とお話しすることがありますが、彼らの向上心を見ていると、とてもマネが出来ないと思います(P117)

あぁ、やっぱり内藤さんでもそう思うんだ(笑)。でもその一方で、やっぱり”好き”を本当に仕事にしている人って言うのはどれくらいいるんだろうか?という気にもなってくる。本当に成功している人たちというのはそうなんだろうか?実は、いやいややっていたことが成功して”好き”になったのでは?仕事をしている中で、その中で自分自身にとって”好き”な事というのを変化させて仕事にしたのではないだろうか?とも思えてくる。
「好き」
難しいですね。私にとって苦手な部類の質問はこういう”好き”とか”夢”という関係の質問が一番苦手です。
「あなたは何がしたいのですか?」
「あなたはどんな夢を持っていますか?」
とかとか。例えば、新しい技術と向き合ったとき。自分の知っている分野の、でも自分の知らない技術で驚かされたとき。これはとても興味がわいてわくわくしてきます。プログラムを書いていて、「あ、こんなことも簡単に出来るんだ」と知ったとき。そういうときに喜びを感じるのでやはり技術系の”ものづくり”は好きなんだとは思う。そしてその一方でこの分野にはすごい人たちがいて、自分自身は仕事としては管理がメインになって余りプログラムを書いている事はなくなってきた現実もある。
でも、プロジェクトやリーダーとしてあれこれ物を考えたり、メンバーのためにあれこれ動くのも実は嫌いじゃないことにも気がついている。そうなると、それも好きなんだと思う。
じゃー、それらが本当に、”自分自身全体の中で 好き”なのか、”今の仕事の中では好き”なのか。そう聞かれるとちょっと分からないな。

だからこそ、「私は~が好き」とか「夢は~だ」と言える人はすごいと思う。目標や夢。
当面の私の目標は夢や目標を見つけ出すことになりそうだ。

うわ。どこの思春期だ

起きていることは全て正しい

勝間和代さんの「起きていることは全て正しい」を読んだ

起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

いわずと知れた勝間さんの最新書。書評やら感想やらは大量にあちこちに書かれているので簡単に思ったことを。
勝間さん自身色々な考え方の上に成り立っているのがとてもよく分かる本。よく、色々な考え方を示す本はあるんだけど、その考え方の詳細を知ろうと思うと何を参考にすればベストなのかが分からない。もちろん、勝間さんの選択=ベストということがいえるわけではないのだろうが、少なくとも勝間さんが何に影響を受けたのかは分かる。
そういう意味で、この本は知識のHUBにいい感じになりそうだ。いくつかの本は読んだことがあったが、紹介された多くの本でまだ読んでない気になる本がいくつかあった。
自分自身の今後を考え、それらに手を伸ばして生きたいと思う。

最強の人生戦略マニュアル

勝間和代さんが訳したフィリップ・マグロー著「最強の人生戦略マニュアル」を読んだ

史上最強の人生戦略マニュアル

史上最強の人生戦略マニュアル

勝間さんといえば、今や書店に行けば彼女の書いた本が所狭しと並んでいるので、ビジネス書を読んでいる方であれば知らない方はいないのではないか?と思ってしまう人。特に彼女の本はたいていデカデカと「勝間和代の~」みたいなタイトルだったりポップが出ているので非常に目につきます。
彼女が注目を集め始めたころ書店で「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド」を軽く立ち読みした。

やたらと「インディな~」が連続されていて、正直インディインディうるさいなぁって印象を持ってしまってそれ以降数々の著作がヒットしているのにもかかわらず手にとっていませんでした。どちらかというと今回は偶然。

本書は、その勝間さんが大いに影響を受けたという本。読んでみると、なるほど。これはとても面白い本だ。
基本的には自己啓発本に良くある「もっと自分をちゃんと認識しましょうね」って内容なのだが、他の本よりもより現実的に「逃げるな」「自分と向き合え」という事を強く意識させられました。
読み進めていくと要所要所で読み手に課題が与えられ、それをこなしていくと最終的に本書の題目どおり”人生戦略”が出来上がる。私自身は本を読むのは基本的に電車の中なので、課題に関してはまずは読むだけにしてあります。これから抜き出してしっかりとしないと!

というわけで、今回の著作を読むことによって、勝間さんがどういう本に影響を受けたのかを垣間見ることが出来た。もちろんこの本に影響を受けたからといってそれがすべてではないだろうけど。こういう内容に大きな影響を受けた人がどういうことを考えているのか。変な偏見を持たずに読んでみようと思う。
つい先日発売された「起きていることはすべて正しい」はこの人生戦略マニュアルを勝間さんが解釈してまとめたもののように見受けられる。まずはこちらを読んでみようと考えています。

起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

孫子の兵法

名前だけは知っていたけど、内容に関してはまったく知らなかった孫子の兵法を読んでみた

新訂 孫子 (岩波文庫)

新訂 孫子 (岩波文庫)

孫子の兵法に関しては驚くほど色々なジャンルが出ている。孫子に関して詳しい解説が書かれていたり、ビジネス上で孫子の兵法を利用するには!ってものもあれば漫画で敷居を下げているものもあるみたいだ。
本書はどちらかというと、そういった脚色や注釈。ごてごてとした解釈を抜きにして孫子の兵法そのまま載せられているのに近い。全体との構成としては

  1. 原文(漢文)
  2. 読み下し文(レ点や送り仮名を付け足したもの)
  3. 日本語訳

という形で紹介されている。
自分自身に置き換えて読んでみると、仕事を進めていく上ではいわゆる倒すべき”敵”や”国”があるわけではないけど、”戦”を仕事。”国”や”軍隊”を会社や部、組織。”将”や”兵”を上司や部下に置き換えて考えてみれば、この太古に書かれた兵書は組織運営においては現代においても読める内容だとは思う。さすがにすべてがすべてというわけには行かないけど。
日本語訳は読めなくはないが、それにしても現代では余り使われない漢字の読み方があちらこちらにあって、スラスラと読めるというわけではない。ただ、読めなくもないって感じだった。
書いてあることは、現在出回っているビジネス書だとかで大体カバーできる内容ではあるし、決して読みやすいと言えたものではないけど一つの文献としては読んでみるのは面白いと思う。読み進めていく中で
知彼知己、勝乃不殆(彼を知りて己を知れば、勝 乃(すなわ)ち殆(あや)うからず
だとか、聞いたことがあるような文言も出てきますし。ちょっと古典を読むのも面白いと思いました。ただ・・・あと2~3回は読まないと正しい漢字の読み方が出来そうにありません。このあたりがネックですね。いやはや。漢字の得意でない私にはナカナカに荷が重かったです

モダンタイムスを読み終えた

伊坂幸太郎のモダンタイムスを読み終えた

モダンタイムス 特別版 (Morning NOVELS)

モダンタイムス 特別版 (Morning NOVELS)

ページ数にして600を超えていたのですが、比較的簡単に読むことが出来ました。技術書もこれくらいのペースで読むことが出来れば私ももう少し知識が・・・
本作は週間少年サンデーで連載されている”魔王 JUVENILE REMIX “の原作である魔王の続編に位置する作品で、魔王に登場する人物も数人出てきます。安藤家にまつわるお話も。

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

モダンタイムスというと同名のチャップリンの映画が思い出されますが、それを連想させる内容となっています。自分たちはいつの間にかシステムの中に身をおかれ、それに気づき、苦悩し、戦う。

「勇気はあるか」

本作中に幾度となく出てくる”勇気”という言葉。勇気を実行に移す形は必ずしもヒーロー的なものであるとは限らない。それぞれの勇気の形があって、それぞれはそれで一つの道でどれもが正解になりえる。そんなことを感じた。

むっふー。それにしても文庫本ばかり読んでいたので、余りの厚さと重さにちょっと疲れました。

給料を考える

私にとって出来るだけ見たくない話題の最たるものが給料に関する比較の記事だ。ただ、何事ももう一度見直してみようと思ってPRESIDENTを手にとって見た

PRESIDENT (プレジデント) 2008年 11/17号 [雑誌]

PRESIDENT (プレジデント) 2008年 11/17号 [雑誌]

良くある。実に良くありそうな給料の会社別ランキング。業種別ランキング。私はというと、滅茶苦茶低いというわけでもないだろうけど決して高いほうに部類されるわけでもなく給料に対しては少し不満を持っている。とりわけ管理職になって残業代がなくなってしまった現在ではもうね、なんというかね。ヒラに戻してくれたほうが!!!!なんて思うときも会ったりなかったりするわけですよ。ダンナ。寂しいね。残業代が出ないのは。ただ、今まで残業代に頼っていた分これからは働き方を含めて考えを変えていかないといけない!と思うきっかけにはなったかな。それはそれでよかったのかもしれない。そんなことを書きながら思った。

記事は年収の比較から昨今の資源高。金融の崩壊やら不動産関連会社の相次ぐ倒産にも触れて書かれている。ここで分類されているいわゆる”情報通信”業種というもののトップはどれもこれもテレビ局だとかメディア関連企業。これらいい方のランキングにソフトウェア関連企業が乗っかってくることはほとんどないのが現状だろうなぁ

世の中はやれ”IT”だの”ICT”だの”見える化”だの何だのとソフトと切り離せない状態になっているにもかかわらず、この業界が優遇されてはいない。なかなか難しいものですね。もちろん、我々が作っているのは何かを成し遂げるための道具であり、それそのものが主役となることは本来の意図から考えると難しい。それこそゲームのようなものであれば可能かもしれないが業務システムとなると”動いて当たり前。動かなかったら使い物にならない”という世界。

そう考えると、”動いて当たり前”なのはもちろんのこと”ただ動くだけではない”ものを考え出さなければいけないわけなんだけど。。。。そんなことはみんな百も承知で作られたものはすぐに”当たり前”になってしまう。元々”巧みの技”が必要なわけではなくいくらでもコピーできるから。しかもいまやインドや中国の技術者も確実に力を伸ばし続け、日本の会社からのオフショア開発も増え続けている。私の会社でも”変動可能な人材”という考え方の元、中国企業にオフショアでの開発を委託し始めている。意思の疎通という意味で今のところハードルは確かに高いものの、いずれは定着していくんだろうな。

そんなこの業界で働き続けること。そしてその中で上を目指すこと。
なかなかハードルの高い話じゃーないですか。これは。

一流アナリストの7つ道具

仕事が終わって家に帰るともうすでに23時ぐらい。遅い夕食をとりながらいつもWBSを見ているかえるです。こんばんは。

WBSで時々出演しているロバートさんが執筆している一流アナリストの7つ道具を読んだ。実は私はロバートのファン。とても分かりやすく、納得できる話をするのでロバートがいつ出てくるのか、とても楽しみにしている。

そう、いつも気になっている。あの蝶ネクタイ・・・。きっとその秘密(?)に迫れるのではないかというよく分からない思いから購入。思いに反して蝶ネクタイの話は一度も出てこなかったが、やはりさすがロバート。とても良い本であった。
本書は”一流アナリストの”としているが、アナリストを育てるためのものではなく、アナリストのように”先を見据える”力をつけるために。アナリストはどう考え、分析して何を誰にどう伝えるか・・・と言うことのための本です。
WBSを見ていていつも思うことは、ロバートの話す内容は他の出演者と異なってとても分かりやすい。ロバート自身も本書の中でプレゼン力の章で

「難しい言葉を使うよりわかりやすい言葉を使うべきだ」
外国語で話す場合には自然とそうなります。簡単な表現しか出来ないのですから。

プレゼンをするときに、相手の文化まで含めて行うくらいの姿勢。そして情報をつなぎ合わせる考え方。
これらは間違いなく今後の自分の糧になるはず。そう思える内容でした。

あぁ、WBSに出てくる日がいっそう楽しみだ

グラスホッパー

週間少年サンデーで連載されている「魔王 JUVENILE REMIX」で登場する蝉や鯨の元ネタとなる。という理由だけで伊坂幸太郎のグラスホッパーを読んだ

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

サンデーでの魔王はどちらかと言うとこれら元の小説とは違う路線で進んでいくのかもしれないが、一応ネタばれになるかもしれないので注意

伊坂さんの小説は魔王に続いて読むのは2作目だが、思ったよりも登場人物がアッサリと死んでいくのがびっくりした。もうね、おいちゃん一生懸命”死んだと思っていた奴が生きていた”パターンを考えていたんだけどね。何の裏もなくバタバタと死んでいったのはちょっと驚きだ。個人的には蝉が真っ先に死んでしまったことがショック。JUVENILE REMIXでは蝉の露出が多くて、どちらかと言うとこの中では中心的な人物なのでは?と勝手に思っていただけに・・・。
さてはて、先週の終わり方が個人的には少し心配なJUVENILE REMIXだが今週はどんな展開を見せるのだろうか。明日のサンデーが楽しみでもあり若干不安でもある。
むふぅ