IE9RCの追跡防止機能(Tracking Protection List)とその利用

昨夜にリリースされたIE9RC。早速家のPCにインストールしてみました。

Download languages for Internet Explorer 9
http://windows.microsoft.com/en-US/internet-explorer/downloads/ie-9/worldwide-languages

インストールされたIE9はVista(32Bit)だとバージョンは以下のようになっています

f:id:krote:20110211182029j:image

これまでとの違いで、一番目につくのはやはり新JavaScriptエンジンChakraによる高速化でしょう。これに関してはこれまでのリリースのたびに、様々な方が検証してくださっています。
週明けにはまたたくさん出てくると予想して、ちょっと新しく加わったTracking Protectionに関して書いてみたいと思います。
何気にこれは、ちゃんと認識をしておいておくべき事柄だと個人的には思っているので。

追跡防止(Tracking Protection)

まずは、設定するとどうなるのか。実際に動かしてみます。

メニューよりアドオンの管理を選択します
f:id:krote:20110211182030j:image

追跡防止を選択し、個人リスト行を選択してから右下の”有効”を押す
f:id:krote:20110211182031j:image

基本的には設定はこれだけです。
この状態で、たとえばYahoo!のトップを開くと・・・
f:id:krote:20110211182032j:image
いつも出てくる右上の広告が消えて、ぽっかりと穴が空いています。ちなみに、全ての広告が消えるわけではありません。読み込まれる広告ももちろんあります。

f:id:krote:20110211183817j:image
何が読み込まれて、何が防止されるかの一覧は、先ほどの追跡防止を有効にした画面で”設定”を押すことで確認することができます。ここにリストアップされているサイト内の要素が防止対象となります。
リストに登録されている内容は、その元々のサイトに直接行けば表示させることができますが、他のサイトでの表示が防止されることになります。

なぜ必要か

Microsoftはなぜ、このような機能をリリースするに至ったか。それを考えてみます。

最近、Facebookの実名制に関して多くのブログで取りざたされています。その一つは、オンライン上でのプライバシーの問題だとも考えられます。
これは、本当に”実名を登録したか”ということだけに限った話ではありません。
ブログやサイトを構築したことがある人であればわかると思うのですが、WEB上での行動解析はかなり進んでいて、サイトを見に来た人がどういう動線でサイト内を移動するのか。また、訪れた人がどういう趣味・趣向を持っているのかという情報を集めています。

発想としては、サイトを訪れてくれた人がどういう興味を持っているのか?を考え、提供者側がサイトを訪問者に合わせた形へ修正・提供していくというものだと思っています。行動ターゲッティング広告とも言います。
ちょうど、楽天が説明をしているページがあったのでご紹介。

行動ターゲティング広告
http://grp01.ias.rakuten.co.jp/optout/

ただ、情報を収集して、それを別な目的で使うこともできるかもしれない。また、情報そのものを商材にすることができるかもしれない。実際問題、条件さえそろってしまえば個人と、行動履歴が結び付けられるのではないかと考えています。

これら情報は、いい方向に使われるかもしれないし、意図しない方向に使われるかもしれない。つまり、はっきり言ってしまうと予測することができないわけです。
IE9では、それらの使われ方を制限することはできないけど、情報を与えないようにすることを閲覧者側に選択肢の一つとして提供することにしたわけですね。

他のブラウザ動向

今回、MicrosoftはIE9でこの機能を実装したわけですが、他のブラウザはこの問題に対してどうアプローチしているのかを軽くご紹介。
Microsoftはともかく、Googleのように情報を収集したり、広告で利益を受けている企業が提供するブラウザで、その利益の元である広告・情報の収集を制限する機能を提供しているのは大丈夫だろうかとも思ってしまいます。

Google Chrome
Chromeは、”Keep my Opt”というChrome拡張機能を2011/01/25にリリースした

Keep My Opt-Outs
https://chrome.google.com/webstore/detail/hhnjdplhmcnkiecampfdgfjilccfpfoe

バージョン云々ではなく、拡張機能側でやってしまおうと言うのがChrome。さらにGoogleはこの機能を他のブラウザにも提供しようと考えているとの話も。Googleツールバーにでも機能として付け加えられるのかもしれませんね

FireFox
FireFoxでは、直接的にブラウザ側が防止すると言うのではなく、広告主側がHTTP Headerに対して仕組みを入れると言うもの。特定のHttp Headerだった場合には、この広告のON/OFFを制御できるようだ。
ただ、これは広告主側が対応を取らなければいけないので、どこまでの効果があるのかというのは不明な状態ともいえますね。

私たちは何を考えるか

正直な話、閲覧者側としては、どう使われるかもわからない情報を、企業に与えるのは少しネガティブなイメージを受けます。ただ、「では、何をブロックするのか」なんてものは選べないのも実情ではないでしょうか。
機能の意図や、それらの必要性と言う意味においては理解できます。が、どこまで・どうやって使いこなしていくかはまだまだこれからなのかもしれないですね。

行動ターゲティングは、閲覧者側に利益がまるでない話ではありません。正しくこれらの認識や仕組みが共有されること。
また、プライバシーを気にするよりも大きな利益が得られるようなサービスと、よりオープンな社会になるのであれば制御をかける人なんて少数になるんでしょうけどね。

さてはて、どうなるでしょうか。
個人的に、この問題を考えた時に一番最初に思いついたのは、エッチなサイトを見るときは注意が必要だ!ということぐらいですが…。(ゲフゲフ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください