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生成AIで持続的な競争優位は築けない(HBR12月号より)

今回は、最新のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2024年12月号から、特に気になった記事「生成AIで持続的な競争優位は築けない」について

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2024年12月号 特集「チームの力を最大化する」

生成AIは当たり前に

生成AIは、確かに革新的なテクノロジーです。しかし、パソコンやインターネットと同様に、「全ての企業が当たり前のように使用するツール」となる可能性が高いのです。

そういう意味では、それそのものが一時的にはともかく継続的に競争優位を築くツールとなるかに関しては非常に怪しいところ。

データ囲い込みの難しさ

また、生成AIで真の競争優位を築くためには、以下の条件が必要です:

  • 圧倒的なデータ量もしくは独自データの確保
  • 他社のアクセスを制限できる体制
  • 継続的な大規模投資

しかし、これらの条件を満たすのは、Amazon等の一部の巨大企業を除いて、現実的にはかなり困難でしょう。

先行者利益を得られる可能性は確かにありますが、過去を振り返ると、先行者が必ずしも最終的な勝者とはならないケースも多々あります。

では、どうすべきか?

重要なのは、将来的に競争優位にならないからと言って生成AIへの取り組みを躊躇する理由にはならないということかな、と思いました

たゆたえども沈まず

原田マハ著「たゆたえども沈まず」を読んだ

たゆたえども沈まず (幻冬舎文庫)

先日読んだ、板上に咲くと同じ著者の原田マハさん。
森美術館の設立準備に参加したりニューヨーク近代美術館に勤務したりしてるんですね。
やはり、こういった背景もしっかりと把握されているんだろう。

本作は、画家ゴッホに関して、弟のテオや画商林忠正。そして、おそらくは創作の人物である加納重吉を通して当時のパリ、そしてゴッホ兄弟に関しての半生が描かれています。

板上に咲くでも感じましたが、こういった芸術家のエピソード等を知ると、その作品に関しての感じ方が随分と変わりますね。

以前にこの時代の画家。つまりは印象派からポスト印象派と呼ばれる世代を中心とした展覧会を見に行きました

クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで | 企画展 | 国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

手元に、展覧会の冊子があるので久しぶりに開いてみました。
「じゃがいものある静物」や「若い女の肖像」など、本著作の中で出てくる作品もありますね。

どうしてもゴッホというとひまわりや糸杉、星月夜の印象が強くなってしまいます。
ただ、その時代背景や画家自信のその時の状態。
色々と調べればもちろん出てくるものの、なかなか調べようと思わないですし、覚えていられないところがあります。

Audibleで再生時間13時間超という長さでめまいがしましたが、非常に楽しむことができました。
良かったです

「板上に咲く」を読んだ

原田マハ著「板上に咲く」を読んだ

板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh
https://amzn.to/3BZr2TX

版画家として知られる、棟方志功の半生を題材とした作品。
内容としては、棟方志功の妻であるチヤの目線、語りで書かれた小説となっている。

棟方志功と言っても、名前はなんとなく知ってはいるけれど、どんな作品だったかな?がいまいち思い浮かべられなかった。
思い浮かべられなかったのでネットで見てみようと調べてみたら棟方志功記念館なるものがあるので覗いてみると

閉館のお知らせ
棟方志功記念館は2024年3月31日をもって閉館いたしました。
49年ありがとうございました
一般財団法人 棟方志功記念館 – 青森市棟方志功記念館のオフィシャルサイトです (munakatashiko-museum.jp)

しまっていた。
といっても、案内にある通り、青森県立美術館が引き継いで展示しているよう。
とはいえ、青森は遠いな。。。

これまで棟方志功を教科書に出てくる名前でしか知らなかったけれど、本書を読むことでその人となりや作品に関して知ることができたのは、なかなかいい体験だった。

こういう小説は、純粋に教養としていいなと思い、美術館などで作品を見る際にこの手の背景を知って見るのと知らずに見るのとでは大きく味わいが異なると思う。

少なくとも、私は作品からのインスピレーションで感じるようなことができないので、知識ベースで知っておかないとよくわからんのですよね。

なにかの折に棟方志功の作品を見ることがあれば、本書を通じて知ったことが大きく役に立ちそうな感じがする。

良かった

上流階級 富久丸百貨店外商部 IV

ここのところお気に入りになっているシリーズ「上流階級 富久丸百貨店外商部」の4作目を読んだ

https://amzn.to/406irJ5

今回も楽しむことができた。

途中、社内政治だとかそういった陰鬱とした内容が、読むのを少しためらわせるというか、そういったモノを見たり聞いたりすると自分がいじめられているような感覚を覚えてしまい、見てられなくなってしまうところがあり、ちょっとつらかったが、なんとか読み進めることができた。

だんだん、島耕作のように主人公の鮫島さんが出世していく。
なんとなくこの手の話の流れからすると転職という終わり方はしないんじゃないだろうかな?と思うが、流石にそろそろ最終巻かしら?と思ったがまだ波乱はありそうだ。

現在刊行されているのは本書まで。
本書の発売が2022年とのことなので、そろそろ5巻が出てくれないんだろうか?

楽しみです

上流階級 富久丸百貨店外商部 Ⅲ

Audibleで1,2と聞いて、当然のように続きを聞きました

上流階級 富久丸百貨店外商部 III

相変わらず面白い。
やはりお仕事系の話は、色々と考えさせられるし、思うところが出てくる。

作中の主人公である鮫島さんの年齢も近いといえば近いので、バイタリティや行動力は違えど置かれた境遇というか、環境というか。
わかる面も面白く感じる一つの要因なんだろう。

このシリーズを読んでいて、なにかしら自分もブランドものを持ちたくなってしまうのが正直なところ。
とはいえ、これまで全く興味がなかった話であるし、生来の貧乏性な私ではあるので正直言って購入に踏み切れる自信はない。

とはいえ、作中であるような「強いもの」を身に着けたいというのは気持ちがわからなくもない。
問題なのは自分にとってそれに値するものが何なんだろう?というところなのだとは思う。

必ずしもそれはブランド物のバッグや貴金属でなくてもいいけれど、それなりに強さを持っていてほしいという点はある。
何が面白いだろうか

そう、面白いか。
結局のところ私の価値観で考えるのであれば、面白いかどうかになる。
その軸で何かしら探したいな

窓際のトットちゃん

網走に行っている往復やホテルでの時間を利用して、Audibleで窓際のトットちゃんを聞いた

窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子さんが著者ということも、本の存在自体も知ってはいたけれど、内容に関しては実は知らなかった。
ただ、少し前にNHKかなにかでトモエ学園の特集はやっていて、それをなんとなく見てはいたので本書を読んで、「あぁ、あのときの内容がこの本のことだったのか!」とつながった。

ちなみに、Audibleでは黒柳徹子さん本人が朗読している

そして、Wikipediaを見てみるとこの「トットちゃん=黒柳徹子」ということで完全なノンフィクションな自叙伝に近いものとのこと。
おぉ、そうなのか!と改めて思う。

事前にNHKの特集を見ていたおかげでか、内容に関しては比較的すっと入ってくることができた一方で、先を知ってしまっているのでなんというか、ドキュメンタリーを聞いているような感覚に陥った。

2時間ちょっとの短い内容となるのでサクッと聴くことができる。
一つの知識というか、なんというか。
教養として読んでおくのにおすすめとなりそう

後輩に勧める本

会社で所属している部門で、ちょっとしたLTみたいなことを開催しているのだけど、ちょうど登壇者がいないということで急遽発表することに。
なにか良い題材ないかな、と考えて、おすすめの本を紹介することにしたので、その下書き。

技術書に関しては、人それぞれ興味の分野が違うので、全般的なものとしてチョイスした。

仕事の思想

仕事の思想 なぜ我々は働くのか (PHP文庫)

なんでこの本を手に取ったのか、ちょっと思い出せないが就職したての頃に読んで、色々と学びを貰った。

夢と目標に関して。理想かと夢想家。
リーダーとしての心構えや部下との接し方。

20年以上前に出版された本なので、現代において主流の考え方と異なる部分もないわけではないけれど、基本的な仕事に対する考え方というのは今でも学びになると思っている。

ただ、いかにせん最後に読んでから時間が経ちすぎているので、もう一度読み直してみたい。

1分で話せ

1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術

前職で社長が感銘を受けたのか、本が配られたという、なんというか棚ぼた的な入手の方法で読んだのだが、面白かった。

ロジカルシンキングとかそういうMBA教科みたいなものは、存在は知っていたけれど「伝える」ということに軸をおいてどう話を組み立てて行くのか。

そもそも伝えるということはどういうことなのか。
なんのために伝えるのか。

私自身、自信がない物言いのときにはどうしても言葉が多くなってしまう。
自分の中でちゃんとまとめることができていないからこそ、余計な言葉で補おうとする。

まだまだだなぁ

Joel on Software

Joel on Software

もともとがBlog記事なので、なんというかクセがある物言いが多い。
こだわりを持った、なんというか昔気質の物言いという印象を受けるのでどこまで若手に受け入れられるのかが正直わからないところはある。

「1分で話せ」を紹介した後に回りくどい言い回しの本書を出すのもどうかと思えたけれど、題材としている言語や対象は古いけれど読み物としては面白いのではないかと思う。

なんというか、心構えというか文化形成というか。そんな感じの意味でおすすめになる。

イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ

世界的な大企業であっても、新技術に投資したとしても市場におけるリーダーシップを得ることができずに衰退していってしまう現象に関して調査し、研究した本。

2001年が初版となるのでもうだいぶ経つのだけれど、それでも色褪せている感じはしない。

本書を読んでいる頃、私自身も製品開発に従事していた。
もちろん、イノベーションを起こそうだとか、起こりそうなレベルのものではないのだが、興奮して読んだ記憶がある。

クリステンセン教授の著作は、このイノベーションのジレンマの他にもシリーズ的に続いたのだが、個人的にはやはりこの本が一番良かったように思える。

一旦ここまで。

こうやって見返してみると、紙の書籍も本棚に並んでいるのをざっと見て選ぶことができるのでいいなと思える。
場所は取ってしまうので考えものなのだが。。

それにしても、軒並みに本のラインナップが古い。
もちろん、そういう本をある程度意図的にチョイスしているのだけれど、受け入れられるものなのかはちょっと心配ではある

リッチにはなれない

先日読み終えた「上流階級 富久丸百貨店外商部」の続きを読んでいる

上流階級 富久丸百貨店外商部 II

もともとファッションには疎い人間ではあるので、作中で書かれているブランドの名前は聞いたことがあっても特徴や値段というのは正直わかっていないことが多い。

こういう世界は別世界だとはわかっているものの、折しももうすぐ誕生日。
であれば、何かしらご褒美的なものをと考えたときにちょうど読んでいるこの本を考えると、何かのブランド物というのも悪くないのではないか?と思えたので、相変わらず私は流されやすい

では、数あるブランドの中で何が自分にとってしっくり来るのだろうか?

そういえば、作中で出てくるロエベはハネムーンで行ったスペインでお店によって、妻になにか小さいバッグみたいなのを買った記憶がある。
そういう意味では少しは自分にとって関わりがあるぞってHPを見てみた

パズルフォルド トート XL(シャイニーカーフ) ブラウニー – LOEWE

トートバッグ一つに約33万か。。。
値段的には買えなくはないんだけど、こういう革製品をケアできる自信もないし、やはりどうしても高いと感じてしまう。

ただ、いいものをいいと感じることができるような感覚は、実は大事で、そういったものを感じることができるからこそ、仕事を頑張るという人も出てくるんだろうな、と思う。

なんか、このあたりは正直言ってよくわからないというのが本音。

ただ、そういうようなこだわりみたいなものを持っているというのは、ちょっと憧れる面もあります。
税金対策ーとか言ってこういう高額商品を買うくらいな高給取りになれる気はしませんが、何かしらのご褒美的なもの。楽しみ的なものはやっぱり作ることができたらな、とは思います。

上流階級 富久丸百貨店外商部

久しぶりに小説をと、たまたま目についたこちらを読んでみた。
もちろん読んだと言ってもいつもの通りAudibleを利用している

上流階級 富久丸百貨店外商部

Audibleでは12時間を超える長さということで、ちょっとビクついたけど面白く読むことができた。

百貨店というイメージは、どうしても高級なイメージを持ってしまうところがあり、あまり食品周り以外は足を運んだ記憶がないのが実情。

外商という仕事に関しては、少し記事を見てみると作中で書かれていることも多く、世の中にはやはり、そういうリッチ層がいて、そのためにこういう人たちもいるんだな、と思わずにはいられない

憧れの舞台でつかんだ「外商」という働き方。お客様に寄り添い、自分が磨かれていく喜びがある。 | GoodStory – ストーリーがつむぐ、人と企業の出会い

思ったよりも面白く読めたのだが、なんでだろう?と少し首を傾げたが、全然やっている仕事は違うが、お仕事物の小説という点が自分自身のポイントと合致したのだろう。

この本はシリーズもので、すでに第4巻まで出版されているようなので、時間はかかるが続きを聞いてみることにする                                                                                                                                                                                                              

Software Design 10月号

定期購読している Software Design の10月号が届きました
今回のお題はドキュメントです

ソフトウェアデザイン 2024年10月号

ドキュメント・・・。難しいですよね。

本書の中でも書かれていますが、結局のところシーンによって必要となるドキュメントは変わるし、誰が何に対して責任を持つのかが整備されているプロジェクトは結構少ない。

単発モノで終わるプロジェクトであれば、改修することは少ないのでそれほど重厚なドキュメントは不要なこともあるし、長期的に開発を回していくようなプロダクトであれば、経緯を含めたドキュメントが欲しくなります。

一方で、数ある「こういうドキュメント作ったほうがいいよ」の種類は膨大にあり、作りすぎることでメンテナンスコストが大きくなる。もしくは、メンテナンスされなくなってしまうような事態を引き起こします。

種類や方法がやたら多いということは、結局のところ全てのプロジェクトで共通で使うといいという手法なんてないんですよね。
なので、初期段階で何を作って何を作らないかを決めないといけない。

「こういう情報欲しいな」って話があるとちょっと作る。
ただ、このレベルだと保守されないことのほうが多い。ただ、一度作ってしまった以上は・・・ということが起きるんですよね。

苦しい・・・

でも、契約別に事例が載っているのは非常に面白いと思った。
若手メンバーにオススメしたい一冊だと思う