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『カレー移民の謎』から見える日本の今 – インドカレー店の向こう側

室橋裕和著「カレー移民の謎」を読んだ

カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書)

私の住む街にも、いくつものインドカレー店があります。
実は「インド」カレー店と呼んでいますが、その多くはネパール人が経営しているということをご存知でしょうか?今回は『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)を読んで、普段何気なく利用している「インドカレー店」の背景にある興味深い物語と、そこから見える日本の課題について考えてみたいと思います。

気づかなかった「インネパ」の存在

私の近所のカレー店では、チーズナンが安価で絶品です。最近都内で食べたハニーチーズナンの美味しさにもびっくりしました。メニューにはネパールのビールまであったような…。ふと立ち止まって考えてみると、「インド」カレー店なのになぜネパールのビールがあるのか?そもそも、チーズナンやハニーチーズナンって本場にもあるのだろうか?

考えれば考えるほど、私たちは「インドカレー」という枠組みで単純に捉えすぎていたことに気づかされます。実は、日本全国で見かける多くの「インド」カレー店は、ネパール人が経営する「インネパ」と呼ばれるものなのです。

移民という視点から見える日本の課題

この本を読み進めていくと、単なる飲食店の話を超えて、現代日本が直面している重要な課題が見えてきます。例えば:

  1. ビザや在留資格の問題
  2. 外国人労働者の子どもたちの教育
  3. 多文化共生の現実

特に印象的だったのは夜間中学の存在です。私の地元千葉市には「千葉市立真砂中学校かがやき分校」という夜間中学があり、国籍を問わず受け入れているそうです。日本語指導から始まり、基礎教育まで行っている。これは知らない人も多いのではないでしょうか。

見えてきた違和感の正体

カレー店が閉店しても、すぐに似たような店が開店する。メニューも店名も似ていて、本当に店が変わったのかどうかさえわかりにくい…。この「違和感」の正体は、実は日本における外国人労働者受け入れの現状を映し出す鏡だったのかもしれません。

少子高齢化が進む日本。外国人労働者への依存度は確実に高まっていますが、その一方で、明確な移民政策が示されていないのが現状です。さらに最近では、日本から出ていく外国人も増えているというニュースも目にします。

これからの日本社会に向けて

この本を読んで、普段何気なく食べているカレーの向こう側には、現代日本の抱える大きな課題が詰まっていることを知りました。これからは外国料理店を訪れる際、その料理や文化背景により深い関心を持って接してみようと思います。

そして何より、日本は移民政策について、どのような未来を描きたいのか。この問いに向き合う時期に来ているのではないでしょうか。カレーという身近な食べ物を通じて、こんなにも深い社会問題について考えさせられる一冊でした。

チーズナンは?

ちなみにチーズナンは別にインドであったわけではないようです。
ネパール人が日本で提供していくうえでより日本にあったものをということで開発されたのかもしれませんね。

なにはともあれ、カロリーには気をつけながらもチーズナン大好き人間としては開発してくれた人にありがとうを言いたいところです。

努力革命を読んだ

伊藤羊一、尾原和啓著「努力革命」を読んだ

努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術 (幻冬舎単行本)

概要

主にはChatGPTを使った形ではあるが、昨今のLLMをどうやって使っていくのか。
これまでの世界観とこれからの世界観で何が変わっていき、何を認識していかなければいけないのかが著者二人によって語られている。

LLMが登場したことによって、多くの仕事の仕方が変わってくる。
物の考え方や仕事の覚え方、進め方、それらが大きくゲームチェンジしていっているのが今この瞬間。
その中で、今を生きる人間としてどうやっていくのか。
著者がどういう使い方をしているのか、具体的な事例を参考に考えることができる一冊と認識しています

LLMへのこれまでのつきあ方

ChatGPTに関しては、公開当初に触ってその凄さは衝撃を受けたものの、自分自身として使いこなしているかと言われると使いこなせていませんでした。

仕事として使うとなるとどうしても会社の規則的なものが立ちはだかりますし、それに抵触しない範囲。
つまり、プロンプトに入力できる範囲として当たり障りないところで留めるとなるとどうしても制限が出る。
非常に悩ましく、変なリスクを背負うくらいであればってことで選択肢から取り入れていませんでした。

調べごととしても、当時のChatGPTは最新情報へのアクセスが出来ないということも大きかったと思います。

再考

ちょうど本書を手に取ったタイミングで、似たようなテーマの話を聞いたり別の本を読み始めたりしまして、大きな危機感を感じることになりました。

これら技術の現在を正しく理解し、使いこなすこと。
そして、これら技術がある前提において自分が何を考えて取り組んでいかなければいけないのか?ということを考える必要があるな、と。

まさに本書から、努力の方向性を見直さないと行けないという提言だと。

エンジニアとしての自己研鑽や教育

エンジニアとして考えた場合、新しい言語を勉強するということは大事な認識ではいます。
ただ、プログラミング言語は結局のところアプリケーションを作るうえでの手段であって、言語そのものが目的ではない。
AIによって生成されたコードがそのまま使える、使えないはあるのですが、CLineに代表されるツールと言うか仕組みもどんどん進化していっている。

その中で、プログラミングを習得する方法というのが、従来と同じやり方で泥臭く行くのが本当に現代においてもいいやり方なんだっけ?は振り返る必要がありそう。

どうしていくと生産性を上げることができるのか。
もしくは、AIがコードを生成するような世界になったときに我々は何に力点をおいて取り組んでいくべきなのか

楽なようで難しい世界になっていくものだな、と改めて感じました。

「経済評論家の父から息子への手紙」を読んだ

山崎元著「経済評論家の父から息子への手紙」を読んだ

経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて

著者が実際に息子さんが大学へ入る際に送った手紙というのが元になっているとのこと。

実際の手紙は、こちらに全文が公開されていた

【大反響!たちまち8万部】山崎元・著『経済評論家の父から息子への手紙』から、息子へ書いた手紙を一部公開中
https://gkp-koushiki.gakken.jp/2024/02/01/66764/

自分が大学に入ったとき、どうだったかなー?って思うと、特に何もなかったように思えてくるけれど、当時の自分に同じことを言われたとしても響いただろうか?は結構疑問。
しかし、世の中に対しての向き合い方というものはもしかしたら少し変わったかもしれないな、と思うのは自分を過大評価し過ぎだろうか。

本書で述べられていることとしては、お金と付き合っていくうえで適切なリスクを取ることの大切さが述べられている認識。
そして、その上で幸せになってほしいと思う親の願いみたいなものがあったように感じる。

本書でアドバイスされている内容自体は、正直中年の私としては自分に適用することは出来ないとは言わないけれど、今更感はある。
もちろん、転職という選択肢は常に持っているわけではあるので、時間的優位性は随分と減ってしまってはいるけれど、本書で述べられているような株式での支払いというのを探すというのは面白い視点だと感じている。

一方でこのアドバイスする内容もその時代時代によって変わってくることには注意しておかないといけない。
私の場合は長男が高校卒業となると2年後だが、末娘が高校卒業となると16年後・・・。
この二人では、まるで世の中が違う形になっていることだろう。

本書で語られている内容で、友人や自分の居場所を大切にするなど普遍的な内容もある一方、経済の状況や何をリスクとして考えるのかは変わっている可能性がある。

著者は大学入学時にこの手紙を書いているが、将来はもっと早くこの内容を認識しておくのが当たり前の時代になっているかもしれない。

いずれにしても親として、子が大人になる前に何かしら話のできる関係性がちゃんと築いている状態となっていたいと感じた。

シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―

Audibelで「シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―」を聞いた

シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング

年末辺りに、今自分が行っている1on1のあり方を整理し始めて、その過程で本書も手を取ってみた。

Amazonの紹介ページにもあるが、上記の流れみたいなものはなんとなくは意識していたもののしっかりと言語化してやっていたわけではなかった。

特に”モチベーションアップ”として、前回から今回までの期間でメンバーが行った業務に関してのフィードバックをするというのは、”私はあなたのことを気にかけていますよ”という意味においても大事だと再認識した。

なんとなくで実施していた1on1も、これまでの経験と合わせて体系化してスキルとして昇華させていく必要がある。

ただなぁ、いかにせん相手の話に関してその場で臨機応変に動かなければならず、いくら1on1が”聞く場”だとしてもアドバイスを求められる事も多々あるわけで、返答がとっさに出てこないことも。

なんというか、自分自身が自分自身の考えというものをしっかりと言語化することが出来ていないというのが問題なんだろう。

そう考えると、自分の思考のアウトプットを行い、それを見直してみるということがいかに大事であるかを思い知らされる。

基本、矛盾だらけなんですよね。。私の発言は。
それは、ある見方ではそうなんだけど違う見方ではそうではないということであると思っていて、それが正しく表現できていないと誤解を与えてしまう。

また、過去に「こうしていこう」と考えた部分をちゃんと自分の思考の引き出しとして持つことができるのか?が出来ていない。

というわけで、色々な本で得た1on1に関することを少しずつ取りまとめ、1on1実施時にそれらを確認しながら進めることに今年から挑戦していっている。
今のところうまく言っているように見えるので、ブラッシュアップを続けていければと考えている。

「侠飯」を読んだ

福澤徹三著「侠飯」を読んだ

侠飯

見ると、この侠飯シリーズは10巻まで出ている人気シリーズのよう。
名前から想像がつくけれど、料理に対するうんちくが結構続きます。

料理自体は美味しそうで、中には簡単に作れるものもあるのだけれど、登場する多くの料理は素材がかなりこだわっていて、それだけのために材料を買ってしまうと、一体おいくらになってしまうんだろうという気がしてならない

また、ストーリーも相当無理がある
無理がありすぎて、正直スカッとするかと言われるとうーんとなってしまう。

ここまでシリーズが続いているのは、メイン登場人物である柳刃の格言というか、うんちくが人気なのだろうか。
それはそれで気になってしまう。

続きもAudibleであるので、気が向いたら次の巻も聞いてみようかな

呪術廻戦・完結

呪術廻戦が6年半の連載を終えました

呪術廻戦 29 

呪術廻戦 30

いい終わり方だったのではないかと思います。
30巻という長さは、十分長期の連載でもありますし、長すぎないという範囲でもあるかなぁと。

内容としては、どんどん複雑化していく呪術の前提条件や縛りが絡み合って、一種の設定厨っぽさを遺憾なく発揮している感じがして、そのあたりはほぼ読み飛ばしてしまっていました。

矛盾点がないかとか検証していくと、何かしら出るのかもしれませんが、なんというかもうそういうものでもないかな、と思わなくもないです。

死んでしまう人もいて、生き残る人もいる。
取った行動に対して後悔もするし反省もするし開き直りもする。

人間だよね、と。

そんなことを感じさせてくれるようなエピローグで、ちょっとほっこりしました。
良かった。

ピエタを読んだ

   大島真寿美著「ピエタ」をAudibleで読んだ

ピエタ

今回、Audibleで聞くことになったのだけど、実はハードカバーの本を10年以上前。購入して途中で読むのを断念してしまってました。
結構厚みのある本だったのですよね・・・。

Audibleで次に何を読もうかな?と見ている中で小泉今日子さんが朗読しているということ。本を読むのは難しくともAudibleであれば。。。と聞いたのでした。

Auidbleでも8時間を超える長編、聴き応えがありました。

ピエタ

ヴェネツィアにあるピエタという慈善院を舞台に、慈善院の合奏・合唱の娘たちと作曲家アントニオ・ヴィヴァルディを中心とした様々な物語が繰り広げられ、そして最後に結びつくいいお話でした。

感動して涙を流すという形ではないですが、なんというか心温まる感じなのかもしれません。
最終的にはそれで良かったのだろうか?という難しい結末を迎えます。

この舞台となっているピエタ慈善院。実際にあるんですね

Istituto Provinciale per l’Infanzia Santa Maria della Pietà di Venezia
https://www.pietavenezia.org/home

また、作中に出てくる登場人物の一人であるアンナ・マリーア(アンネッタ)も実在の人物とのこと。

ピエタ院(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%82%BF%E9%99%A2

こうやって見ていると、より物語の中が垣間見えるようで面白いです。

イタリア、ヴェネツィアかー。
ちょっと興味本位でカーニバルを検索してみたら、思っていた以上に派手な仮面が出てきてちょっとびっくりした。

いやはや、これは面白そうである。。。
若干石仮面みたいなのもあるな。。

Software Design1月号

Software Design 1月号が届いた

ソフトウェアデザイン 2025年1月号

1月号の特集は認証技術と、Web APIテスト。

パスキーかー。
最初に話を聞いてから随分と立つ気がするけれど、いつまで立っても最前線と言われ続けているけれどどこまで実装されているんでしょう。
私がB2Bが多いのでB2Cであれば、見ている風景は随分と違うのかもしれません。

今号から新連載となるものもいくつかあってちょっと面白いなと思ったのは「一歩踏み出すための技術広報戦略の立て方」という連載でした。
著者はハイヤールーの玉田さん(https://www.wantedly.com/id/tamaclaw_hireroo)。

本連載で書かれている、会社が抱えるProblem

  • リファラルや自己応募の比率が低い
  • シニアなエンジニアにリーチできない
  • エンジニアに選ばれない

これはまさにその通り。
昨今は特に売り手市場が続いていて、中途採用が非常に厳しい感じがします。
(足元では変わりつつあるようにも感じますが)

エンジニアに選ばれるためには、当たり前ですが選ばれる会社でなければいけないし、選ばれる会社であることを紹介しないといけないんですよね。

エンジニアによる発信というのもわかるにはわかるんだけど、そのあたりのインセンティブ設計。コントロールなどなど、難しいところ。

そもそもの話として、自社にスーパーエンジニアがいるわけでもなく、すでに情報発信している会社と比較するとどうしても見劣りする技術力。
それらを考えたときに、モチベーションを保ちつつ選ばれる会社になるための発信を続けるのって現実的なんだっけ?と考えると、ぐぬぬって感じになってしまいます。

とはいえ、Problemで上げたものはまごうことなき問題であって、この連載がこの先どういうことを教えてくれるのか、非常に楽しみです。

リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ

堀尾志保著「リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ」を読んだ

リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ

本の内容としては、様々な活躍しているマネージャー、リーダーを調査して作られた本ということで、調査結果感がありました。

特に第1章の「シェアド・リーダーシップとは」という、この本のタイトルともなっている概念に関しての説明があるのですが、これがちょっと長い。
延々と「調査では~」みたいな形になるのでこの時点で危うく脱落仕掛けました。

というか、実際に第1章は正直後半はすっ飛ばして2章以降に行ってしまっていいと思っています。

STEP1~5まであり、それぞれに意味があるとは思いますが、やはりSTEP1のイメトレして始めるというところは、思ったよりも面白く聞くことが出来たように思えます。

この手の本は、全部が全部賛同できるわけでもないのでなにかひとつでも自分に対して行動上の変化を起こすことができれば儲けものくらいな気分で聞いていたりします。

なにか、活かせているだろうか・・・。
ビジネス書を読んで、学んだ気になって終わっていないだろうか。
最近、よく思ってしまいます。

もっとしっかり、考えないといけませんね

ツバキ文具店を読んだ

小川糸著「ツバキ文具店」を読んだ

ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

舞台は鎌倉。
文具店を営む主人公が副業としている手紙の代書屋(代筆業)を話の中心に、鎌倉周辺で取り巻く人間模様含めたお話。

今回もAudibleで聞きましたが、この本。見てみるとKindle版がないんですね。
KindleはなくてもAuidbleにはなるんだ。。。

手紙。
年賀状を覗いて、最後にちゃんと書いたのっていつになるだろうか。
ちょっと記憶が曖昧だなぁ

親しい間柄であっても、基本的にはメールで済ませてしまうのが現代であって、むしろ親しくない間柄のほうが手紙になる可能性まであるかもしれませんね。

メールであっても手紙であっても、文章という意味においては変わらず、どう気持ちを表現するのか?という点においては考えさせられるもの。
本書ではそこに加えて、手紙という物理世界における要素が多分に加わって気持ちが表現できることを教えてくれている。

紙の質であったり、万年筆なのかボールペンなのかなどの筆記用具。
そして切手にいたるまで、一つ一つの選択肢を積み重ねて相手に送られる。
そう考えると、手紙というのは奥が深いと感じてしまう。

一般人がそこまで細部にこだわった形の手紙を出すというのは正直大変だな、と思ってしまうけれど、だからこそ面白みもあるのかもしれない。

改めて、その大事さに気付かせてくれたような気がする