読書感想文」カテゴリーアーカイブ

PMBOKってなんだ

深沢 隆司さん著「いちばんやさしいPMBOKの本」を読んだ

いちばんやさしいPMBOKの本 (技評SE新書)
深沢 隆司
技術評論社
売り上げランキング: 51784
おすすめ度の平均: 4.0

5 PMBOKには何が欠けているかが分かるとうれしい
4 プロジェクトマネジャー必読
3 PMBOKとは何か?
4 PMBOKの概要と著者の暗黙知の紹介
4 PMBOKの入門として

目次

  • 1 PMBOKとは何か―ものごとを成功裏に成し遂げるための基礎知識
  • 2 第1部 プロジェクトマネジメント・フレームワーク―PMBOK第1章~第2章(序論プロジェクト・ライフサイクルと組織)
  • 3 第2部 単一プロジェクトのプロジェクトマネジメント標準―PMBOK第3章(単一プロジェクトのプロジェクトマネジメント・プロセス)
  • 4 第3部 プロジェクトマネジメント知識エリア―PMBOK第1章~第2章(プロジェクト統合マネジメント
    • プロジェクト・スコープ・マネジメント
    • プロジェクト・タイム・マネジメント
    • プロジェクト・コスト・マネジメント
    • プロジェクト品質マネジメント
    • プロジェクト人的資源マネジメント
    • プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
    • プロジェクト・リスク・マネジメント
    • プロジェクト調達マネジメント
  • Appendix アーンド・バリュー法(EVT)―プロジェクトの進捗を金額で表現する

プロジェクトマネジメントを学ぶ

色々とプロジェクトマネジメントに関する書籍はあるんだけど、どれも実践的な内容だ。実践的というのは、”このケースで私はこうやって乗り切った”的な話がほとんどだ。
その中で、PMBOKに関しては具体的なケースではなく、そもそもプロジェクトマネジメントとはと言ったような体系的な知識を作ろうとしている事から前から気になっていた。
CNETにPMPへの道のりと題した連載を一通り読んで、まずはこの本を読んでみようと。

PMPへの道のり
http://japan.cnet.com/blog/pmbok/2009/05/16/entry_27022434/

やさしいのか?

さて、”一番やさしい”と題されているが、そもそも難解なPMBOKをやさしくしたところで、やはりそれなりに難しい内容ではある。難しい内容ではあるけど、かなりの部分で納得のいく内容ではあった。

プロジェクトとは何か?ということから始まり、プロジェクトを計画するときに必要となる

  • 統合マネジメント
  • スコープマネジメント
  • タイムマネジメント
  • コストマネジメント
  • 品質マネジメント
  • 人的資源マネジメント
  • コミュニケーションマネジメント
  • リスクマネジメント
  • 調達マネジメント

に関してのそれぞれの内容に関して大まかではあるが説明されている。

これは、PMBOKそのものがそういう書き方がされているのかどうかはわからないが、読んでいて思うのはプロジェクトマネージャーの悲哀というかなんというか。不遇の待遇を受けていることへの”本来我々はこうあるべきなんだ”的な苦悩が垣間見えて、面白いようで鬱になりそうな本であった。

ITのプロジェクトが惨状に見舞われやすいのは確かに組織的な問題が多くのしかかっているのかもしれない。特に計画内容が計画したと言える内容であることが実は珍しいのではないかと思えてしまうぐらいだ。
読んでいると、自分自身でもやってしまっているような過ちが数々出てきているようで反省しっぱなしの内容だった。今からでも体制を立て直さなければならない。

PMP取得を目指す?目指さない?

さて、一通り読んでPMBOKに関してのなんとなくの概要はわかった気がするが、PMP試験を受けるかどうかは大いに考える必要がある。
PMP試験は受けるだけでも5万近くかかるうえに、受験資格を得るまでにも多くの場合は10万以上の講習を受けることになって総額的には20万近くの費用がかかる。
受験するほとんどの人が業務命令というのも納得な内容だ。個人で受けるにはちょっと気が滅入ってしまいそうな内容だ。

資格を取ることによって生じるメリットや、そこから回収できるのかというと少し心配ではある。それよりはIPAで出しているプロジェクトマネージャ試験のほうが費用対効果が大きいのではないだろうか…?
ただ、PMBOKはPMBOKとして知識を学ぶのは今後の自分自身の活動に関しても大きな恩恵を受ける事が出来そうで、ちょっとワクワクしてしまったことは確かだ。
そんなことも合わせて考えながら今後のプラン練っていきたい。

記録が出来ないのは性格なのか

鹿田 尚樹さん著「大事なことはすべて記録しなさい」を読んだ

大事なことはすべて記録しなさい
鹿田 尚樹
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 136
おすすめ度の平均: 5.0

5 単なるノート術ではない。アナログとデジタルのハイブリッド記録術
4 記録するが価値
5 ハックス本「議員秘書版」
5 『記録』とは、あなたがこれまで歩んできた人生の歴史である。

目次

  • はじめに
  • 第1章 大事なことはすべて記録しなさい
  • 第2章 効率よく情報収集できる「記録インプット術」
  • 第3章 速く読めて、忘れない「記録読書術」
  • 第4章 記録を使って、可処分時間を2倍にする「記録時間術」
  • 第5章 心と体も書くだけでスッキリ「記録健康術」
  • 第6章 記録で、人脈が10倍に広がる「記録コミュニケーション術」
  • おわりに 記録することで得られる、6つのメリット

違和感

この本に興味を持ったのは、本のタイトルというよりは著者の鹿田さんにお会いしたことがあったことが実は第一であったりします。もっとも、今年の頭の頃で、大勢の中でごあいさつしただけなので記録されてないはずですがw
その時に”妙な違和感”を感じたのを覚えています。特段特別な話をしたわけではないですが、”種族の違い”というかなんというか。

本を読んでみて納得。私が苦手とする”記録”が得意な人なんだ。というか、ここまで行くと”記録魔”なのかもしれない

記録する作業というのは私は大の苦手である。ブログを書いている人は比較的記録することが得意である事が多いかもしれない。
書かなきゃいけない事を書き忘れたりするくせに、どうでもいい事を書いてしまったりする。そして、どうでもいい事の中に大事なものが埋もれてしまって、結局記録をしたとしてもその記録を役に立たせることが出来てない
それでは記録が出来ているとはいえず、”ただ書いている”だけではないか。情けない

本の中のPとE

多くの書籍はPREPという構成をもとに書かれていることがほとんどです

  • P…ポイント
  • R…理由
  • E…エピソード
  • P…ポイント

<中略>極端なことを言えば原理原則が分かってしまえば、新しい本からは「新しいP」だけを探す作業をすべきです

ふむ、確かにこれを意識することで読み方というのは変わってきそうだ。
本を読むときに、何が書かれているのか?ということを本全体としては意識するようにはしているけど、細部にわたって神経を巡らせているかといえばまだまだだ。
ポイントだとか、キーワードに落とし込む「要するに~ってことだよね」的なまとめ方が正しく出来ないといけない。

ただ、私のように物覚えの悪い人間の場合はエピソードと合わせたほうが物事を覚えるのに覚えやすいということもある。また、今回の読み始めた動機のように「鹿田さんってどんな人だろ」的な場合はエピソードが面白いことになる。議員秘書時代のエピソードがこの本では数多く紹介されており、知らない世界をのぞいているようで面白かったです。

人を覚えよう!

私が昔から苦手としていることに「人を覚える」ということがあります。
何度かあってるのに顔と名前を覚えることが出来ない。初めてお会いしたと思ったら以前にもあっていた。相手から挨拶して普通に会話した後で「あの人だれだったっけ」
こんな経験が実は数多くあります。私としては悪気も何もないのですが非常に申し訳ない。
いや、本当に。この場を借りて謝りたいくらいです。というか、謝らせてください。ごめんなさい。

では、忘れないためには何を記録するのか。

写真を撮っておけば、「この人、名前は何だっけ?」と振り返ったり、誰かに聞くことで解決できるのです(P.84)

うーん、確かに写真は考えたことあるんだけど、いきなり”写真とらせて!”って言いづらいものがありますよね。普通にそれが言えるような仲になっているころにはもう顔も名前も覚えてしまっていたりするし。
こうなったら隠し撮りでしょうか。もはやここまで頭が弱いと記録術の前に記憶術を勉強しなければいけないようです

記録量を伸ばす

とりあえず私がやることとしては

  • 記録量を増やす
  • 本のPをより意識する
  • 人を覚える

ですね。
最後のやつはなかなか解決策が見つからないですが、全体写真だとか話をした時のエピソードだとかそういったものを丹念に記録している事が後々の役に立つのかもしれません。
一歩間違うとストーカー状態になりそうなので、相手に引かれない程度にはしてないといけませんが。

記録。大事なことは分かっていても徹底して出来る人はやはりすごいと思う。
自分も自分なりに記録を続けなければ。私、途中でやめてしまうんですよね・・・やはり性格上の問題なのでしょうか・・・

マーケティングとは

ジェイ・エイブラハム著のクラッシュマーケティングを読んだ。

クラッシュ・マーケティング
ジェイ・エイブラハム
実業之日本社
売り上げランキング: 50
おすすめ度の平均: 5.0

5 経営者の必読書
5 これぞマーケティングの要諦
5 さすがマーケッティングの本!!

目次

  • 序章■今こそ、ライバルに大差をつけるチャンス
  • 第1章■ビジネスが停滞する九つの要因
  • 第2章■「卓越の戦略」で強力なライバルに打ち勝つ
  • 第3章■販売戦略と広告手法を変革して売上をアップさせる
  • 第4章■「戦略化、分析、システム化」で安定した実績を得る
  • 第5章■時間と行動をマネジメントして戦略的企業となる
  • 第6章■効果測定とアライアンスで強靱な収益構造をつくる
  • 第7章■リミッターを外し、現状を打破する
  • 第8章■「三つのP」で市場における絶対者になる
  • 第9章■マーケティングの力を三〇〇%活用して、価値に気づかせる
  • 第10章■ジョイントベンチャーでビジネスを最大限に活用する
  • 第11章■景気に関係なく繁栄し続けるには
  • 終章■さあ、今すぐ行動を起こそう!

マーケティングとは何か

以前何かの本に「マーケティングと会計はみにつけておいたほうがいい」って書いてあったのを覚えている。
会計に関しては簿記の勉強を行うにして、マーケティングに関してはまずは書籍を当たってみようと思い、最近あちらこちらで絶賛されていた本書を手に取ってみた。
また、開発者は顧客から離れた位置にいる事が多いが、市場が求めるものというものを正しく自分の中で認識できているのか?ということに疑問を持っているからだ。少なくとも今の私にそのあたりが認識できていると言えるには遠いだろう。

読んでみて思ったのは「そもそもマーケティングってなんだ?」ってことだ。
私が勝手に思っていたマーケティングのイメージは

  • 「市場を調査して、ターゲットとした顧客が何を望むのか。どういったトレンドがあるのか?」

という、最終的に「自社の製品として何を作るのか?」という方向性の物だった。製品を作るための情報収集的なイメージかな。ところが本書を読んでみて思ったのは

  • (既にある製品を)どうやって売っていくのか。この製品が受け入れられるような市場が他にないだろうか?

というような視点のみに感じたからだ。

マーケティングをWikipediaで調べてみると

顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

とある。そう考えると、私がイメージしていたのはマーケティングのごく一部ということになるが、本書はそれ以降の内容ということになりそうだ。多分、開発者的な視点と営業的な視点の違いからなのかもしれない。

共感を呼ぶワードは何か

自分が対面している市場に対して、抱えている問題は何なのか?
多分、これに対する自分なりの答えというものは出せるかもしれない。
ただ、本書を読んで面白かったのは”その答えを表現する言葉を何パターンか考える”というものだった。
これは、人と会った時の質問を予め多く考えておき、その中から厳選して質問をするやり方に似ている。
ぱっと出てきた答えの表現が、相手にとって共感を呼ぶような言葉でなかった場合、答えとしては正しいかもしれないが、効果としては少ないものになってしまう。

また、これは解決策だけでなく、市場が抱える悩みや問題そのものに対しても適用することができる。
それが相手にとってフィットする言葉であればなおさら強い関心を持たせることができるだろう。
そして、それは恐らく”相手によって変えていく”事になるだろう

相手にそのあたりに転がっている”答え”の使い回しに取られてしまうと「そんなことはわかってるんだ」と逆の効果を与えてしまうかもしれない。
このあたり、自分のキャラクタというものと合わせて考えていかないといけないだろう。

さてはて

マーケティングに限らず、人と話をするときにも先にあげたことはそのままあてはまる
とっさに出来る事ではないのでやはり訓練が必要だろう。身近な人に対して適用しつつ、そういうものをみる目と思考パターン、表現のパターンを身につけていくことにしよう
ただ、マーケティングそのものに関しては勉強になったは勉強になったけど、勉強しようと思っていた目的がイマイチ達成できていない。
そもそもいきなりこの本に手を出してしまったのが敗因かもしれないので、マーケティングに関する本をやはり数冊読んでみる事だろう。

見積もりに対する考察

昨日に引き続きアート・オブ・プロジェクトから

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)
Scott Berkun
オライリー・ジャパン
売り上げランキング: 96079
おすすめ度の平均: 4.5

5 バイブルにしています
4 プロジェクトマネジメントに関する教科書的な一冊
5 プロマネ、必読
4 プロジェクト大災害で大炎上
5 真のマネジメントがここにある

精度か正確さか

見積もりの精度はよく問題にはなるが、どれだけ精度が高くても正確でなければ意味が無いというのが本書で言わんとするところだ。ここで言う”精度”とは数字上の精度。
言ってしまうと、小数点桁何桁まで出した数字だろうと、その出す過程が根拠を伴って出されてない限り、何の意味も持たないってことだ。では、根拠のある数字を出す過程とはどんなものだろうか。

ソフトウェアの開発では、いわゆる機械による大量生産のように同じものをひたすらに作るわけではなく、常に一品モノの物作りとなる。
時には技術的に不明確な部分に対して切り込まなければならない開発。。。というよりは”研究”に近いのかもしれないこれら作業を正確に見積もることなんてできるのだろうか?
しかし、お客様に「いくらかかるか分からないし、いつ完成するかわからないけど頑張ります」なんて言った途端に「それじゃ、いつ発注するかわかんないよ?」なんて言われてしまうかもしれないわけで、なにかしら見積もりはしないといけない。

規模が小さい開発であればそこそこの正確さを持った見積もりが出てくるが、規模が大きくなればなるほど見積もり誤差は大きくなる。自己負担分も増えていく。(デスマーチの)鼓笛隊の歩む音が聞こえてきそうだ。

これは経験にゆだねるしかないのだろうか。

一つの答えとしては多分そうなんだろう。ただし、その”経験”は、”会社としての経験”であって”個人としての経験”であっては困るわけだ。
見積もりに対する根拠・仮説を記録しつつ、結果を検証することを繰り返す必要がある。これは積もり積もったデータベースとして、組織の財産としての扱いを受けるべきだろう。

そもそも誰が見積もるのか

ここまで書いて、ふと思ったのは、”見積もりをしているのはだれなのか?”という事だ。
これは”仕様や設計を行っているのはだれなのか?”という事に置き換える事も出来るかもしれない。

本書では見積もりの精度に関して”優れた設計から生み出される”としている。

優れた見積もりというものは、信頼性の高い設計と要求が揃って初めて生みだされるという事です。そしてエンジニアリングにおける優れた情報と優れたエンジニアという2つが揃って初めて生みだされるのです。(P.40)

そんなに多くの事例を見たことがあるわけではないので断言できるわけではないのだが、見積もりや設計を行うのは実際にコーディングを行うプログラマーやプログラマーのリーダーではなく、”過去にプログラムを組んでいた管理職”か、”プログラムを組んだことのない管理職”が多いのではないだろうか?
そして、何かしらの根拠があって見積もっているわけではなく、感覚論で見積もってしまっているのではないだろうか?

そうであるならば、見積もりはリーダーだけでなくプログラマ、品質を管理する担当者(テスター含む)等にも参加してもらい、そもそも出来あがる機能が、業務的に本当に有益な形でお客様に提供できるようになっているのか?等、様々な角度から求め
ていかなければいけないだろう。

ただ、未受注の機能に対してここまで大がかりな見積もり体制を築き上げてしまうと、実は中小のソフトウェア会社では回らなかったりする。要するにお金になるのか分からない作業に対して人を割り当てる余裕が無いということだ。もちろん、そういう企業の場合はプログラマからテスターまで多くの作業を兼任するので必然的に少人数にはなるだろうが、それはそもそも人が足りないわけで、逆にノリで見積もりをしそうだ。

私が所属している組織において、本書でいう”正しい見積もり”が完全に機能しているとはとても言えない。見積もりが個人のスキルによってしまい、引き継ぎも出来ないうえに当たり外れが出始めている。
銀の弾丸が無いとはいえ、組織内において蓄積された基準や、見積もる上でのプロセスを見直す必要がある。
動かなければいけないな

マイクロソフトのプロジェクトはアートなのか

このプロジェクトマネジメントを続けてはだめだ!!もういい加減に成長しなければいけない。
そんな思いからアート・オブ・プロジェクトマネジメントを読んだ

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)
Scott Berkun
オライリー・ジャパン
売り上げランキング: 96079
おすすめ度の平均: 4.5

5 バイブルにしています
4 プロジェクトマネジメントに関する教科書的な一冊
5 プロマネ、必読
4 プロジェクト大災害で大炎上
5 真のマネジメントがここにある

目次

  • 計画
    • スケジュールの真実
    • やるべきことを洗い出す
    • すぐれたビジョンを記述する
    • アイデアの源
    • アイデアを得た後にすること
  • スキル
    • 優れた仕様書の記述
    • 優れた意思決定の行い方
    • コミュニケーションと人間関係
    • メンバーの邪魔をしない方法
    • 問題発生時に行うこと
  • マネジメント
    • リーダーシップが信頼に基づく理由
    • ものごとを成し遂げる方法
    • 中盤の戦略
    • 終盤の戦略
    • 社内の力関係と政治

そもそもなぜソフトウェア業界はこんなにもプロジェクトマネジメントを声高にする必要があるのだろうか。
事業規模で考えれば他業界でもっと大きなプロジェクトはたくさんある。もちろん、それらプロジェクトがすべからく成功を収めているかというとそうとは言い切れない部分はあるが、、、

本書はプロジェクトマネジメント全般にわたって書かれてはいるが、ここではこの頃私を悩ませている仕様書に関しての話題に言及したい

仕様書は必要か?

本書ではプロジェクトに必要となる書類として以下のものを定義している

  • 要求仕様
    • プロジェクトに期待される様々な物事を文書化するため、作業によって達成されるべきすべての要求と責任の概要を記述する
  • 機能仕様
    • 顧客の視点から見た特定のシナリオやシナリオ群における振る舞いや機能を記述したもの。ソフトウェアの機能をユーザーインターフェースを通じて解説し、なるべく技術的な詳細に踏み込まないようにしつつ、物事の動作方法を解説する。要求の一覧ではなく、それを実現するための機能の一覧。
  • 技術仕様
    • 機能仕様を満足するために必要となるエンジニアリングアプローチの解説。もっとも複雑なコンポーネントや、他のプログラマが再利用する可能性のあるコンポーネントを開設したり、機能仕様に必要な作業項目に対して技術的な裏付けを提供できるだけのレベルで十分。
  • 作業項目一覧(WBS)
    • 機能仕様を満足するために必要となるプログラミング上のタスクを解説したもの。
  • テスト基準とマイルストーン達成基準
    • 各テストケースの優先順位と、各マイルストーンにおける品質目標を満足するためには、コードが該当テストケースにおいてどの程度正しく動作する必要があるのかという目標。

私のこれまで携わったプロジェクトでは、要求仕様や機能仕様を合わせて外部仕様書と読んだり、機能仕様と技術仕様がごちゃっとなって内部仕様書と読んだりしていた。ちなみにWBS、テスト基準等はそれぞれの文書として独立させることになる。
恐らく本書で述べられているこれら内容は別に独立した文書である必要はなく、それらを網羅するべきということなんだろう。

私の場合は転職経験があるわけでも、大学でソフトウェア関連のことを学んだことがあるわけではないので他にどういう形の文書があるのかは知らないのが現実だ。
内部仕様書に記述する技術仕様は、どの程度まで記述するのかが問題となるのではないだろうか。仕様書を書くことが本来達成するべき仕事ではないので、これらの切り分けをどうしていくのか…。内部仕様書に関しては、社内の誰に対して文書を書くか?ってことになるのかもしれないなぁ

仕様書と設計書の違い

設計段階では仕様は固まっていない。未確定な内容が含まれており、それに対する議論や検証を行う必要がある。それらを経て、実際のモノづくりを行う作業の前に仕様書を作るべき。
設計書と仕様書を同時に作成しようとした場合、設計の変更に伴う仕様書の修正工数ばかりが増大していき、仕様書は意味のあるものとして成り立ちづらい。もしくは計画そのものが破たんする。これらは全く別のプロセスとして動かす必要があるだろう。

ううん、言っていることは分かるが…。
実際のところ、現場では設計書と内部仕様と作業指示がめちゃくちゃになっている。内部仕様書が正しく仕様書としてなりたっておらず、中途半端な設計書になっているだけだった。
だからこそ、”何の文書を書くのか”ということが明確になっておらずに、文書の作成に行き詰ってしまっているのだと思う。
そう考えると、これらを全く別のプロセスとして捉えて取り組むというのは分かる話ではあるのだが…。
ううん、時間がないっていう言い訳をしてはいけないのは分かるが時間がない。時間を捻出する手立てを立てなくてはいけないなぁ

多くのすぐれた仕様書では、設計が階層に分けられた上で記述されている。まず最初に、顧客のエクスペリエンスが顧客の言葉で記述されている。次に、基本オブジェクトの大まかな概要とアーキテクチャが記述されている。そして最後に、エンジニアリングにおける、設計上の複雑かつ詳細な問題が記述されている。

ふむぅ
やはり、仕様書か設計書か。
どうしても私は今自分が見ている”仕様書”が頭に入ってしまっていてここで述べている”仕様書”との間には隔たりがあるようだ。この隔たりを解消するにはどうしたものか…。やはりここでいうところの”優れた仕様書”を見てみるのが一番だと思う。

Joel on Softwareでおなじみのジョエル氏のページには氏が”優れた仕様書”のサンプルを出している

んー・・これ見たことあるな…。たぶんJoel on Softwareにそのまま載ってるな…。

はい、出直してきます

数学って好き?

今日のNHKスペシャルが奇しくも「魔性の難問 ~リーマン予想・天才たちの闘い」でした。先日やったポアンカレ予想といい、NHKはこういう学術的なことを特集してくれるので見逃せない。
もちろん、専門家から見たら穴とか抜けがあるのかもしれないが、一般的には、そもそも”リーマン予想”という言葉自体なじみがないのでこういう番組は意味があるものだと思う。
なんてたって妻の最初の反応は「破たんした?」だったもの。いや、私ももちろん知らなかったけどさ。

さてはて、いつだったか小飼弾氏が紹介していた原作結城浩の「数学ガール」(漫画版)を読んだ

数学ガール 上 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
結城 浩
メディアファクトリー

数学ガール 下 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
原作/結城浩・作画/日坂水柯
メディアファクトリー

元々理系である私でもちょっと笑ってしまうくらい数学オタクな「僕」を取り巻く数学と恋愛事情。
うーん、設定がマニアック過ぎて誰をターゲットにしているんだろう?やはり理系女子萌えなんだろうか。
ちなみに著者の結城さんは、Java関連の書籍も執筆されている方。うちの会社でもJavaやってる人間は普通に知っていた。

見る世界は

それにしてもこの人達は、どんな世界を見ているのか
高校時代、数学や物理を私は好きだった。あまり暗記モノが得意ではなかった私にとって、いくつかの公式を組み合わせたり、式を変形させたりすることで解くことが出来るこれらの学問は非常に魅力的なものだった。物理で得点をとるほうが他の科目で点数取るより効率(偏差値的な意味で)だったことももちろんあるんだけど。
ただ、実は高学年になってから習ったことが、元をただせば初期に習った公式に通じるなんてことがあるたびに素直に驚いた。

いつのころからか、数学はひたすらに数字ではなくて文字を扱うようになり、とてもじゃないけど身近に感じられるものではなく、ただ単に受験に必要な学問になっていった。
結局のところこれが実生活で何の役に立つのかなんて教師を含めて説明できる人なんていなくて、次第にそのものには興味を無くしてしまったのを覚えている。
ただの勉強が出来なかったことの言い訳なのだが。

本書に登場する主人公や、NHKスペシャルに登場している数学者たちはどんなことを考えているのだろうか。
きっと、私のように変な打算を考えているのではなく本書でも出てくるように”ただ好きだから”ということなのかもしれない。
“好き”も突き詰めれば、突き詰めることが出来れば…。

私の”好き”は何だろうか
考えるものではない命題ではあるかもしれないが、考え直してみるのも一つだろう。

数学は面白いか

先日読んだ小飼弾さんの弾言に紹介されていた畑村洋太郎さん著「数に強くなる」を読んだ

数に強くなる (岩波新書)
畑村 洋太郎
岩波書店
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おすすめ度の平均: 3.5

1 う~ん もう少し構成等を工夫してほしい
5 フェルミ推定の導入本としても面白い
4 子供に数(かず)に対するセンスをつけてもらうための参考書
4 数におびえないためのトレーニング
4 フェルミ推定?

私は理系で、大学では機械関連の学科に所属していたので比較的数学には慣れ親しんでいた。もちろんやっていた=好きというわけではないのだが。卒業してソフトウェアの世界に入ってからは全くといってそれらに向き合っていないので、もう完全に忘れてしまっている。微積ってなんだっけ?
本書はもちろん微積の本でもないし、数学という学問の本ではない。ただ、数学というものに対する見方を、ちょっと学校では気付かない見方を教えてくれた。

数を作る

たとえ知らなくても、作る努力をしなくてはいけない。必要な数は、見たその場で作れなくてはいけない(P71)

手持ちの材料や情報をもとに仮説としてでも、数としてあらわすことが出来るか?というのは確かに大事だ。大きいだとか小さいというような形容詞で表現されても正しく相手に伝わるとは限らない。
そのためには、数に対する感覚というものを常日頃から意識するというのは面白い話ではある。

試しに会社から最寄り駅まで歩数を数えてみたりして遊んでみた。一度歩数を数えてみて、距離感だとかそういったものを知ると、数えてなくても「あ、大体ここまでで~歩くらいだったな~」とか、「そうすると、ここまでは大体距離として~くらいかな?」ということを考えてしまうから面白い。
自分の歩幅だとか、歩くペースなんてものも分かってくるから、あれこれと楽しめそうだ。

数学は役に立ったか

数学というと、問題を解くだけであった。
算数は、どちらかというとテーマが日常である(お使いだとか三角形の大きさだとか)のに対して、数学は出てきた問題をどう使うのかがさっぱりわからなかった。結局、問題を解くために公式を覚えているだけ。
微積だとか素因数分解だとかが一体全体何の役に立つのか?ってずっと思いながら問題を解いていた。

本書で書かれている24*26のかけ算の解き方。これはとても面白いものだった。そんな風に素因数分解を使うのか・・・?ふむぅ
実は、公式だけしか教わってなかったけど、これらの式をどういう場面で使うのか。
実はこれを教えることによって数学に対する物の考え方だとかが変わってくるんじゃないだろうか?なんて思ったりもした。
結局のところ問題を見つけるまでが問題なのかもしれないな。
色々、そういった問題を探してみるのはとても面白いことなのかもしれないと思った。

サラリーマンサバイバル時代

“週末起業”の著者として有名な藤井孝一さんの「週末起業サバイバル」を読んだ

週末起業サバイバル (ちくま新書 811)
藤井 孝一
筑摩書房
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おすすめ度の平均: 5.0

5 会社に頼らない生き方
5 それでもあなたは「週末起業」しますか?

最近、この手の”週末起業”や”副業”といった話題をよく目にする。一つは著者が6年前に出版した週末起業 (ちくま新書)による影響もあるだろうけど、やっぱり今の景気情勢によるところが一番大きいんだろう

サバイバル時代

もはや正社員といえども安心していられる時代ではないというのはまさにその通り。昨日もこんな見出しの記事が公開されている始末

ボーナス激減でローン延滞急増? 大手銀が態勢整備急ぐ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091102-00000622-san-bus_all

そんな中だからこそ、現時点での職を維持したまま続ける週末起業という考え方が受けているんだろうと思う。
私自身、何かしら副業を持っているわけではないけど、確かに会社に対して今後定年まで維持できるのか?給料は上がり続けることが出来るのか?というと、今のままでは難しいのではないだろうか?と思わずにはいられない。
少なくともそんな雰囲気が日本中に渦巻いている感はある。

どの方向性を考えるのか

週末起業で一番困るのが、何をやるのか?というネタだ。それに関しては本書でも取り上げられている

ネタはどこかに転がっているものではありません。また、部屋にこもって頭を抱えているうちに出てくるものでもありませんある日突然、降って湧いたようにひらめくものでもありません。(P123)

結局のところ、試行錯誤しながらあれこれ試してみて結果として残ったもの…という、あまり計画としてはどうよ?って感じに落ち着いている。まぁ、そんなものかもしれない。もちろん、やるときには”これで”と思ってやっているのだろうけど。
どういう方向性で?と考えるのに面白いものがある。出逢いの大学の千葉智之さんが自身の人脈ブランディング講座で取り上げている4タイプである

「マルチ・キャリアの4タイプ(前編)」
http://www.menstrend.jp/navigators/5504/4148.html

本業との相乗効果を狙うのであれば、方向性を合わせたほうがいいとは思う。副業側にも恩恵は大きいだろう。ただ、”あんまり同じことばっかりやってもなぁ”的な気持ちもあったりする。
ただ、やっぱり一番大事なのは自分が何が出来るのか?って事をちゃんと知るってことなんだろうな。
さてはて、こんな私に~何が出来るのか~?

なぜリーダーは半歩前なのか

姜尚中さん著「リーダーは半歩前を歩け」を読んだ

リーダーは半歩前を歩け (集英社新書)
姜尚中
集英社
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おすすめ度の平均: 3.5

4 混迷の時代に
5 読書の力  文学の底力
4 姜氏青春の総決算。内容不足は否めないが、金大中氏の言葉は含蓄に富みます
3 物足りない!
5 金大中

そもそも何で半歩前なのか?
リーダーであるのならば、一歩も二歩も前を進んでいったほうがいいんじゃないのか?リーダーシップってヤツを発揮しよう!って感じじゃないの?って疑問がまず第一に思いつく

アイデンティティーが分散している以上、一つの目標に向けてすべての人を動員するのは難しい。だから、微妙に行きつ戻りつし、人々の文脈を読みながら、柔軟にリーダーシップを発揮していくのがベストだと考えたのです(P.43)
いま求められているリーダーは、「カリスマ」ではありません。十歩前を行く人でもない。たった「半歩前」なのです。(P.45)

つまり、あまり先行しすぎると周りが付いていかないということから半歩前という表現を使っているんだろう。
草食系だとかゆとりだとかあれこれ言われるようになった昨今。確かに、半歩前くらいじゃないと”ついていこう”という気になる人が少ないのかもしれない。これはこれで分かるような気もする。
ただ、一方でリーダーがそれでいいのか?半歩程度前でいいのか?といわれるとそうでもないと感じてしまう。もちろん、私が出来ているという意味ではなくだが。

そもそも、半歩前とか一歩前というのはどれくらい”前”何だろうか?
少なくとも、フォロワーがリーダーの向かう先が間違いなく”前”であると認識できる範囲でなければいけないし、到達可能であると認識できる範囲でなければいけない。
それは結局のところフォロワーによって見える範囲というものは変わってくるのであって、リーダーに要求されるのは自分が見ている”前”の中でフォロワー毎にどんな”前”を見せるのか、ということが重要なのではないかと思う。

なるほど、結局のところ最初に戻って”カリスマ”的なリーダーではなく、もう少し身近に感じれるリーダーということだろうか。
半歩前という表現を使われると多少違和感を感じるが、組織がある特定のカリスマによってぐいぐい引っ張っていく形態から変わっていくという内容。
あまり、社内に”カリスマ”的な人がいないので、私にはどうもイマイチピンとこないのが正直なところである。
カリスマでも何でもない私には、私に出来うるリーダーを目指すことになるしかないのだから。

人生を上昇気流に?  「フォーカル・ポイント」

レバレッジシリーズでおなじみの本田直之氏が監訳した「フォーカル・ポイント」を読んだ

フォーカル・ポイント
フォーカル・ポイント

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ディスカヴァー・トゥエンティワン
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生産性の向上に対して数々の著作を持つ本田氏が”決定的に大きな影響を与えた1冊”と書かれた本書。
確かにそれにふさわしい内容だった

戦略的な人生の設計

実際のところ、書かれている内容に関しては”すごい目新しい”と思う内容ばかりであったわけではありません。勝間和代氏の「史上最強の人生戦略マニュアル」であったり、ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」であったり、似たようなことは書かれています。
本書は、それらが徹底的に分かりやすくリスト化されていたり、繰り返し解説されているのです。

実際のところ、見たことがあるといってもそれを実行できているわけではありません。
私も一度や二度「そうだ!」と思える内容を読んだところでなかなか実践できていません。たぶん、実践できている人はそもそもこの手の本の先に行ってしまっているんだろうけど。
本書はじっくりと、考えながら、そして取り組みながら読むように作られています。「今回出てきたこの話は前のほうに書いたこれと同じだよ。出来ているかい?」って何度も繰り返してくる感じです。

自制する

一番個人的に難しいと感じていること。それは自制すること。

自分の思考をコントロールできれば、自分を取り巻く世界に変化が起こるのだ。たくましい心を持ち、しっかりと目標の方向付けがなされていれば、あなたは人生に求めるものを手に入れることができる。(P.94)

それが特に何も先にはつながらない。一時の楽しみでしかないものであってもそれを止めることができない。
たとえばテレビや漫画のようなものですね。
本来の自分の理想像や未来像を実現するためには不必要なものであるはずのそれらを自制することができない。でも、逆に言うと自制することができないのは自分が描いた未来像というものが、本当に、真剣に考え抜かれていないからではないだろうか?と、思うようになってきました。
これができずに、ちゃんと自分は行動や意識をフォーカスできるのか?そんなにおまえは器用なのか?
逃げずにちゃんと自分と向き合うこと。当たり前かもしれないけど、やはりそれがまだまだ足りないということなんだろう。

「誰かが成功を収めたということは、他の人にも同じことができるという証明である」
新しい情報に直面した時、偏見を持たず、自分の考え方を修正できれば、猛スピードで変化する世界で成功する大きな力を得ることができるのだ(P.96)

誰かができたから出来るってのを素直にはいそうですかとうなずけるほど素直ではないけれど、”出来ない”と思っていたらいつまでも出来ないことだけはたぶん間違いない。”出来る”と思ってやること。いや、”出来ている”というように行動することで少しずつ変わっていければと思う。

考え、模索し続ける日々は続きそうです。