金こそすべて

昨日読んだ”貧乏入門”とはうってかわって正反対と思われる本を読んだ。その名も「職業”振り込め詐欺”」だ

職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書)
NHKスペシャル職業”詐欺”取材班
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 43058
おすすめ度の平均: 4.5

4 「カネこそすべて。手段は選ばない。」という考え方
4 がんばれ警察!
4 組織化、犯罪意識のなさに驚き
5 考え方が違うのかも
5 こんな時代に誰がした?

目次
はじめに

  • 第1章 巨額をむしり取る振り込め詐欺ビジネスの仕組み~格差が生み出した現代型犯罪~
  • 第2章 「捕まるのは下っ端だけ」 ~ワーキングプア・失業者が日雇い犯罪者に~
  • 第3章 有名大学・一流企業出身のエリート犯罪者たち ~犯罪意識の消滅~
  • 第4章 実録:エリートたちが群がる巨大振り込め詐欺グループの裏側
  • 第5章 「命のお金を奪われた」 ~被害で一変した暮らし~
  • 第6章 振り込め詐欺対策の現状 ~撲滅に向けて動き出した警察~

正直言って予想以上の内容だった。取材内容はさすがNHKスペシャル取材班だと思わせる一方、NHKスペシャルだからこその取材対象との距離感に何とも言えない気分になる。

犯罪に走る大学生

本書はNHKスペシャル取材班が振り込め詐欺の実態に関しての調査内容がまとめられている。
取材対象となったのは

  • 振り込め詐欺犯罪者
  • 振り込め詐欺被害者
  • 元振り込め詐欺犯罪者

等々。
特に驚かされるのは詐欺犯罪者たちの実像。本書によると、犯罪者の約80%は20代と30代で構成されており、特に暴力団と直接つながりがあるわけでもない若者。しかも多くの大学生がアルバイト感覚でやっているということでだ。
しかもどちらかというと、頭のいい面々が「賢く稼ぐ」という発想から手を染めているというではないか。

小さいころから英才教育を受けてきたが故の道徳の無さからきているのだろうか。ゆとり教育なんてものも関係するのだろうか。自分が古いだけなのだろうか。
色々と考えさせられる内容だ。

何が犯罪なのか

元振り込め詐欺の面々が、振り込め詐欺によって得たお金をもとに会社を興して今は働いているという。何とも言えない話だ。
それを考えると、実は周りの合う人たちは本当に真っ当な稼ぎなのだろうか?あの人はなんであんなに羽振りがいいのだろうか?いらない詮索までしようと思えば出来てしまう。
“自分のまわりにはいるはずがない”なんて発言は結局のところ、振り込め詐欺にあった人たちが口々に言う「まさか自分が詐欺にあうとは」ということと同義なのではないだろうか。

また、振り込め詐欺とは言わなくても巷であふれているいわゆる”情報起業”のようなものも、いくつかは”人をだます”という意味においては似たようなものに感じる。もちろん、それらのすべてがそうだというわけではないだろう。ただ、そういうものがまぎれていないとも限らない。

いずれにしても、疑心暗鬼にならないために我々は正しい知識と情報を手に入れる必要があるだろう。
常に脅すネタは変化していく。時事ネタだからと言ってあわてず、一呼吸おいて事実を確認する心の余裕を持つ必要がある。警視庁の関連ページを以下に記す。

振り込め詐欺(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/koreisagi/koreisagi.htm

色々と、今後を考えさせられる一冊であった。
ともかく、一度親に連絡を取りたくなった。余り人ごとだとなめてかかってはいけない。

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