日別アーカイブ: 2025年1月21日

『カレー移民の謎』から見える日本の今 – インドカレー店の向こう側

室橋裕和著「カレー移民の謎」を読んだ

カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書)

私の住む街にも、いくつものインドカレー店があります。
実は「インド」カレー店と呼んでいますが、その多くはネパール人が経営しているということをご存知でしょうか?今回は『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)を読んで、普段何気なく利用している「インドカレー店」の背景にある興味深い物語と、そこから見える日本の課題について考えてみたいと思います。

気づかなかった「インネパ」の存在

私の近所のカレー店では、チーズナンが安価で絶品です。最近都内で食べたハニーチーズナンの美味しさにもびっくりしました。メニューにはネパールのビールまであったような…。ふと立ち止まって考えてみると、「インド」カレー店なのになぜネパールのビールがあるのか?そもそも、チーズナンやハニーチーズナンって本場にもあるのだろうか?

考えれば考えるほど、私たちは「インドカレー」という枠組みで単純に捉えすぎていたことに気づかされます。実は、日本全国で見かける多くの「インド」カレー店は、ネパール人が経営する「インネパ」と呼ばれるものなのです。

移民という視点から見える日本の課題

この本を読み進めていくと、単なる飲食店の話を超えて、現代日本が直面している重要な課題が見えてきます。例えば:

  1. ビザや在留資格の問題
  2. 外国人労働者の子どもたちの教育
  3. 多文化共生の現実

特に印象的だったのは夜間中学の存在です。私の地元千葉市には「千葉市立真砂中学校かがやき分校」という夜間中学があり、国籍を問わず受け入れているそうです。日本語指導から始まり、基礎教育まで行っている。これは知らない人も多いのではないでしょうか。

見えてきた違和感の正体

カレー店が閉店しても、すぐに似たような店が開店する。メニューも店名も似ていて、本当に店が変わったのかどうかさえわかりにくい…。この「違和感」の正体は、実は日本における外国人労働者受け入れの現状を映し出す鏡だったのかもしれません。

少子高齢化が進む日本。外国人労働者への依存度は確実に高まっていますが、その一方で、明確な移民政策が示されていないのが現状です。さらに最近では、日本から出ていく外国人も増えているというニュースも目にします。

これからの日本社会に向けて

この本を読んで、普段何気なく食べているカレーの向こう側には、現代日本の抱える大きな課題が詰まっていることを知りました。これからは外国料理店を訪れる際、その料理や文化背景により深い関心を持って接してみようと思います。

そして何より、日本は移民政策について、どのような未来を描きたいのか。この問いに向き合う時期に来ているのではないでしょうか。カレーという身近な食べ物を通じて、こんなにも深い社会問題について考えさせられる一冊でした。

チーズナンは?

ちなみにチーズナンは別にインドであったわけではないようです。
ネパール人が日本で提供していくうえでより日本にあったものをということで開発されたのかもしれませんね。

なにはともあれ、カロリーには気をつけながらもチーズナン大好き人間としては開発してくれた人にありがとうを言いたいところです。