ソフトウェア開発未来会議

以前ご紹介した(id:krote:20090212)ソフトウェア開発未来会議へ話を聞きに行ってきた。会議の形式としてはパネルディスカッション。登場したのは

・東証コンピューターシステムの松倉氏
・イーストの下川氏
・アプレッソの小野氏
・アークウェイの森屋氏
・ジャーナリストの新野氏
・デジタルアドバンテージの小川氏
http://www.developerscafe.jp/future/offline/index.html

の面々。最近よく見かける方々がいる。
アークウェイの森屋氏は最近よくこういう場で見かけるようになった。最近見かけるようになったのはただ単に私がそういう場に行くようになっただけなのかもしれないけど。イーストの下川氏はWindowsAzureを使用したサイト(TORIPOTO(トリポト)を作成したという事でTechDaysで紹介されていたので知っていた。アプレッソの小野氏はブログ(http://blog.livedoor.jp/lalha/)も有名だしね。
というわけでどんな話が飛び出るか楽しみで行った

話題の中心は

今回、パネルディスカッションで話される内容として事前に予定されていたのは

  1. 世界不況に対して
  2. クラウドコンピューティング
  3. これからのソフトウェア開発は

という3つのテーマが挙げられていたわけだが、2時間半(30分延長)の時間の大半はクラウドコンピューティングに対して向けられた。
時流というかなんというか、しょうがないといえばしょうがないのかもしれないが3番目のテーマに関してこの面々が経営者の視点からどう考えているのか。今後、どういう風にしていこうと考えているのかを楽しみにしていただけに少々期待はずれだった。
まぁ、軽食ありの休憩を含んだ時間という設定で、この3つすべてに対して2時間では全然足りないということだろう。クラウドコンピューティングに対しての議論がそれだけ白熱したという事もあるのかもしれない。ただ、それぞれの見解や立場の相違から議論そのものは随分と変な方向性を向いてしまっていたのではないだろうか。
確かにクラウドに対しての不安や危惧は尽きないものだけど、それを論じるために集まった訳ではないのではないだろうか。可能性を語る上で危険性に目を向けなければいけないのはその通りなのだけど、限られた時間の中で本来の目的である”幅広い視野に立った将来設計へのヒント”を達成する方向で論じてほしかった。

個人から見たクラウド。組織から見たクラウド

今日一番の収穫だったのは個人から見たクラウドに対する視点だったように思う。
これは、いわゆるiPhoneのAppStoreのように、個人が提供するソフトウェアの一つの形態として成り立たせることを容易にするのかもしれない。
これまで、アイデアはありながらも公開サーバー等を自前で所有・維持する事が出来ないゆえに埋もれていったソフトウェアの提供。これが、たとえばWindowsAzureのような環境を利用する事によって随分と敷居を下げることができるのではないだろうか?企業に勤めていながら、起業というリスクを負わなくても実行できるのではないだろうか?
ちょっとぐらっときた。
なるほど、この視点でAzureを見てはいなかった。まだWindowsAzureの価格設定が出てきていないので実際のところはわからないが、正直”企業向け”という位置づけでしか見ていなかった。もしそういう見方が可能ならば色々とこの界隈は面白い事になるのかもしれない。レンタルサーバーとの違いって奴を見せてほしいものだ。

一方で、組織。つまり企業がクラウドに対してソフトウェアを提供する事に関しては意見は別れた。
クラウド上にこれまでオンプレミスの環境で構築していたサービスを乗せるとなると、対象とするシステムによってその容易さや考慮する内容というものは変わってくるはず。
コンシューマ向けのサービスに関して言ってしまうと、比較的容易であると思う。さらに、サービスの提供期間が短かったりする場合には初期コストを考慮するとクラウドを使用したほうがコストの削減になりそうだ。ほら、芸人のサイトなんていいんじゃないだろうか。2年くらい持てば人気が…。
ただ、企業内のサービス。特にミッションクリティカルな内容になると、“少なくとも今は”難しいように思う。クラウド上のサービスはインターネットありきなので、何らかの回線不具合があった瞬間にどうしようもなくなってしまうのだからだ。手元にデータも何もないので手の打ちようもなくなってしまう。
結局のところ、これらの技術動向に対して、法整備や環境が整っていないのだと思う。ミッションクリティカルな内容になれば必ず日本の企業は”誰が保障するの?どこに訴えればいいの?”ってなるし、個人情報を扱うとなると”プライバシーマークやISMS取ってくれてるの?”となる。もちろん、それらはいろいろな問題を考慮して作られたものであるので否定はしないけどね。しまいには”データは日本にないと駄目だよ”とか言い出しそうだ。
まだまだこれからこれから。どう考えていくのかを考えていかなければいけませんね。

これからの会議

ソフトウェア開発未来会議が、今後どういう話の方向性をたどっていくのか。2回目のオフライン会議があるのかはわからないが、クラウドに限らず話を進めていってほしいと思っている。”ソフトウェア開発者”は別にWebやっている人ばかりではなく、組み込みの開発者もいればローカルのアプリケーションの開発者もいるわけだし。
これだけ目まぐるしく技術内容が変化し続けている業界において、この会議に参加されている経営者の方々がどう考えているのかは気になるところだ。
自分を含め、考えていかなければいけないだろう。

あぁ、また長々と書いてしまった。。。

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