いちばんやさしいソフトウェアテストを読んだ
技術評論社
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ソフトウェアを開発するうえでテストというものは必要不可欠な話である。ただ、ソフトウェアのテストエンジニアや品質管理者というものを目指す!という話をあまり聞いた事がない。これは私が聞いた事がないだけの話かもしれない。
本書はその現状を打破するために作られた本ではないかと思う。
テスト工程は、あくまでテストする対象となる機能。ここで言うとプログラムがない限りは実際のテストは出来ない。もちろん、仕様上の不備・不具合を指摘したりそれに合わせてテスト計画を練る事もとても重要な作業だ。ただ、肝心の開発が予定通り進む事は稀で往々にして遅れが発生する。その時に削られるのはまっさきにテスト工数がやり玉にあげられる。
バグを見つけたら見つけたで開発側からは裏切り者扱いされたりもするかもしれない。もちろん、バグを見つけたという事は間違いなく評価されるべき事で、そのままプログラムが世に出た時の被害を考えれば素晴らしい事。ただ、納期が迫ってただでさえ遅れが発生している開発担当者の感情的な心根としてそういう発想につながってしまう事もあるだろう。
本書でも第6章で涙ぐましい対策が語られている
常に挨拶と礼節を心がけ、開発者とチームメンバーとよりよい関係を目指します!
(中略)
そこで、テストエンジニアは常に開発者と良好な信頼関係を保ち気軽に話ができるようになっておく必要があります。(P126)
開発側に属する私としては色々と頭を下げたくなる内容だ。
これからのソフトウェア開発を考えると品質というものはより求められ、それに比例するかのようにテストエンジニアの価値というものはどんどん上がっていくだろう。
本書がそのきっかけとなってくれる事を願う。
ただ、本書は対象とする読者をどこに置いているのだろうか?実際に開発に携わっている人間にとっては本書は優しすぎる。そうなると、対象読者はだれになるのだろうか?
第1章は優しいものの、その後はV字モデルの説明、W字モデル。名前だけならAllPairsや直交表も出てくる。
うーん、対象は学生なのかな?